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注目度高まるデジタル音声広告で成果を上げるには? オトナル・八木太亮が徹底解説!【Marketing Nativeビタミンゼミレポート】

今回はデジタル音声広告の代理店として知られる株式会社オトナル 代表取締役・八木太亮さんが「成長するデジタル音声広告最前線」を解説。

好評連載中の「ビタミンゼミ」(※)レポート第12回は、デジタル音声広告の代理店として知られる株式会社オトナル 代表取締役・八木太亮(やぎたいすけ)さんの「成長するデジタル音声広告最前線」をお届けします。

「音声市場はこれから盛り上がる」と聞いて自社でも取り組んでみようと考えたものの、広告を出稿するにはどうすればいいか、そもそもどこから手をつければよいか、今ひとつわからない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回はデジタル音声広告の基礎知識から期待できる効果や、スタートアップおすすめの活用法についてご紹介します。

(構成:Marketing Native編集長・佐藤綾美)

※ビタミンゼミ:ビタミン株式会社が運営し、スタートアップ企業の経営者やCMO候補のマーケターがゼミ生として参加するコミュニティ。コミュニティへの参加は有料で紹介制。Marketing Nativeでは、月1回開催される「朝ゼミ」の内容を不定期でレポートしている。

音声サービスの6つの分類

八木さん(以下、八木) 本日は「成長するデジタル音声広告の最前線」をテーマにお話しします。株式会社オトナルは2013年にWebメディア事業を展開する企業としてスタートし、2018年にWebメディア事業を売却した後、音声市場に参入した会社です。我々の事業の軸は主に2つで、1つはデジタル音声広告の代理店、もう1つがアドテクノロジーです。アドテクノロジー事業では、ラジオ局などの音声メディアに対して、デジタル広告枠の開発や実装をお手伝いしています。

音声広告について、我々のように一貫してサービスを提供している企業はまだ少ないため、音声広告市場の啓蒙活動も行っております。

まず、デジタル音声メディアとは何かをご説明します。

昔から存在する音声メディアといえば、電波で流れてアンテナで受信する地上波ラジオです。地上波ラジオ放送は基本的にリアルタイムで番組を楽しむもので、アーカイブが残りません。一方デジタル音声メディアは、Webサイトやアプリなどインターネット上で聴けるのが特徴です。好きな時間に自由に楽しめて、中にはユーザーに合わせてコンテンツを最適化できるタイプもあります。

音声メディアを含む音声サービスは、主に6つに分類できます。

  • 音声メディア(音声コンテンツサービス)
  • Amazon MusicやSpotifyなどの音楽配信サービス
  • オーディオブック
  • Radiotalkやstand.fmなどの音声配信プラットフォーム
  • ポッドキャスト(Podcast)
  • ClubhouseやSpoonなどの音声SNS

画像提供:株式会社オトナル

企業が音声サービスを活用する方法は主に2つで、デジタル音声広告(オーディオアド)の配信、または自社で行う音声配信に分かれます。先ほど挙げた6つの分類の中でも、デジタル音声広告を出稿できるのは、オーディオブックと音声SNSを除く、音声メディア・音楽配信サービス・音声配信プラットフォーム・ポッドキャストの4つです。一方、音声配信は音声配信プラットフォームとポッドキャスト、音声SNSであれば基本的に誰でも行うことができます。

株式会社オトナル提供の画像をMarketing Native編集部で一部修正

デジタル音声広告の2つの種類と例

デジタル音声広告とは、インターネット上で聴ける音声メディアで配信される音声のデジタル広告のことです。デジタル音声広告が配信されるデジタル音声メディアは、その仕組み上、ひとつのサービス内のみで広告が配信される単体型の「音声アプリ」と分散型の「ポッドキャスト」の2タイプに大きく分かれます。

デジタル音声メディアの2つの種類

音声アプリ

単体のアプリとして運営されており、そのアプリを開いて音声を聴くタイプです。アプリはコンテンツをライブ配信するタイプと、コンテンツがストックされているオンデマンドのタイプの2種類に大きく分けられます。

  • オンデマンドのみ:Spotify、YouTube Music
  • ライブ配信にも対応しているもの:radiko、Radiotalk、Voicy、stand.fm

ポッドキャスト

ポッドキャストは、コンテンツの配信者である配信元と配信先が分かれています。例えばニッポン放送のコンテンツをポッドキャストの配信システムで配信すると、Apple PodcastやSpotify、Amazon Musicなど、多数の配信先で聴けるように、分散型の仕組みになっているのが特徴です。

デジタル音声広告の2種類の広告

デジタル音声広告は、ネイティブ広告(Baked In Ads:ベイクドイン)とインストリーム広告(Dynamic Insertion:ダイナミックインサーション)の2つに分けられます。

ネイティブ音声広告

広告と音源をミキシングして完パケした状態の広告付き音源を配信する音声広告です。番組内でパーソナリティーが読み上げて宣伝したり、音声編集でつないだ30秒の音源を挿入したりします。挿入した広告は原則変化することなく残り続け、出稿したエピソードにしか広告が入っていない状態になります。

インストリーム音声広告

音声音源やストリーミングの間に、システムで動的に挿入される広告です。配信数に応じて配信課金型で出稿することができます。なお、アメリカではDynamic Ad Insertionの略でDAI(ディーエーアイ)と呼ばれることもあります。

インストリーム音声広告はメディアによって挿入方法が異なるため、例として3種類の仕組みをご紹介します。

1:radikoの例

radikoは民放ラジオ全99局のコンテンツを聴けるインターネットラジオアプリです。アプリではラジオ局のCMが入った番組を聴くことができるのですが、その音源の一部には「番宣局報」と呼ばれる枠があります。例えば「来週から新番組が始まります」といった、ラジオ局の自社番組を宣伝する広告枠です。アプリではこの枠をアドサーバーからの挿入広告に差し替えて配信できる仕組みになっており、ラジコオーディオアドという広告プランにて再生数課金で出稿が行えます。

画像提供:株式会社オトナル

2:Spotifyの例

Spotifyは、最近ポッドキャストも聴けるようになった音楽ストリーミングサービスです。Spotifyでは、無料プランを利用しているユーザーが再生する音楽と音楽の間に広告が流れます。音声広告と一緒にアプリ画面上にポップアップ表示されるコンパニオンバナーの掲載も可能なのが特徴です。

画像提供:株式会社オトナル

3:ポッドキャスト

Apple Podcast、Spotify、Amazon Musicなどの複数のアプリに音声配信を行えるポッドキャストの各エピソードに広告を挿入する仕組みです。エピソードのプレロール(最初)、ミッドロール(半ば)、ポストロール(終わり)などの決まった広告位置に広告が挿入される仕組みです。

ポッドキャストの場合、パーソナリティーによる読み上げ広告(ホストリード)も効果が高いとされています。

※広告の挿入が可能な位置は、ポッドキャスト番組により異なる。

画像提供:株式会社オトナル

なぜ今デジタル音声市場が注目されるのか

「音声ではなく動画でいいのでは」「なぜ今さら音声なのか」と尋ねられることがよくあります。そのように感じる方には、世界市場の規模をご覧いただきたいです。日本は音声後進国ですが、世界に目を向けると、デジタル音声市場は成長していることがわかります。

まずアメリカでは、2020年度の段階でデジタル音声広告市場が3300億円超まで拡大しています。日本のラジオ市場と比べても、デジタルだけで2倍以上の規模があります。また、アメリカのポッドキャストリスナーの数も年々伸びており、41%の人が「(アンケートを取った)前の月にポッドキャストを聴いた(Listened to a Podcast in last month)」と回答しています。

画像提供:株式会社オトナル

では、なぜ今世界でデジタル音声市場が成長しているのでしょうか。私はハードウェア、コンテンツ、マネタイズという3つの理由があると考えています。

ハードウェア

ワイヤレスイヤホンを持つ人が増え、音楽を聴いたり電話をしたり、仕事でビデオ通話をしたりと、装着する時間も長期化しているのが、音声市場が成長している背景の1つです。ワイヤレスイヤホンの世界市場規模は2026年までに887億ドル、または1,533億ドルとも言われており、諸説あります。

コンテンツ

大手IT企業が音声コンテンツ市場に続々と参入し始めているのも、市場が成長している背景の1つです。

Appleは2021年5月にポッドキャストの月額課金機能を開始しました。Amazon Musicは2020年9月からポッドキャストが聴けるようになり、同年12月にはアメリカNo.3のポッドキャスト制作会社を買収するなど、コンテンツ制作に本腰を入れていくことが予想されます。

Googleも実は2018年にポッドキャストサービスに参入しており、検索結果にポッドキャストが表示されるようになっています。例えば「ポッドキャスト スタートアップ」とGoogleで検索してみてください。また、2021年にはYouTube Musicなどで音声広告の配信が始まっています。

Spotifyは2019年からポッドキャストの関連会社を5社買収しているほか、2021年にClubhouseが現れた直後は音声SNSを買収し、「Greenroom」と呼ばれるソーシャルオーディオアプリを始めています。

Twitterが2021年4月にTwitterスペースを始めたのは記憶に新しいのではないでしょうか。Facebookもポッドキャストやライブオーディオルームなど、複数の音声機能をアメリカで提供し始めています。

さらに、Netflixも音声コンテンツの提供を始めるのではないかと言われています。

マネタイズ

アメリカでのこうした動きに比べると、日本はまだ成長途上です。デジタル音声広告の市場規模は2021年で50億円程度と小さいものの、2025年には420億円まで成長すると言われています。ラジオ市場の規模は1260億円と言われていたので、あと4年でその3分の1の規模まで到達する見込みです。

最近になって日本でもデジタル音声広告が注目されるようになったのは、スマートスピーカーやワイヤレスイヤホンの普及に伴い「ながら聴き」ができるようになり、可処分時間の拡大が見込まれ、音声メディアが続々と登場したこと、そして、コロナ禍に自宅で過ごす時間が増え、在宅ワークや家事をしながら「ながら聴き」をするユーザーが増えたことなどが主な背景だと思います。また、Clubhouseが2021年1~2月に国内で注目を集めたのも、音声コンテンツの価値が見直されることになったきっかけの1つだと感じています。

デジタル音声広告の特徴

デジタル音声広告には、ブランド認知性能と完全聴取率の高さ、データを活用したターゲティングと効果検証という特徴があります。

ブランド認知性能の高さ

アメリカのポッドキャスト広告専門会社Midrollがリサーチ会社Nielsenを通じて行った調査によると、ポッドキャスト広告はディスプレイ広告に比べてブランド認知が4.4倍高くなるとの結果が出ています。

また、Spotifyが2020年6月に行った調査でも、ブランド名の認知には、音声のみで伝えるのが効果的であるとの結果が出ています。ある企業のブランド広告を音声のみと動画のみ、音声+動画の3パターンで比較したところ、音声のみに接触した場合が最もブランド伝達強度が高くなっています。動画は視覚からの情報があり、音声のみの場合と比較して情報量が多くなるため、音声のみにして情報量を絞ることで、かえってブランド名が伝わりやすかったのではないかと考えられています。

完全聴取率の高さ

媒体によっても異なりますが、デジタル音声広告は原則としてスキップできない仕様になっていることが多く、それゆえに高い完全聴取率を誇ります。例えばradikoの完全聴取率は98%、Spotifyは91%以上です。

データを活用したターゲティング

ターゲティングについても媒体によって異なる部分がありますので、Spotifyの例をご紹介します。

Spotifyは年齢や性別のほか、プレイリスト、ジャンルでもターゲティングできる点が特徴です。例えば「Sleep」のプレイリストを聴いている人に対して枕や安眠グッズなどの広告を配信したり、「ランニング」または「ワークアウト」のプレイリストを聴いている人にスポーツグッズやジムの広告を配信したりするイメージです。ジャンルターゲティングは、「クラシック」や「ヘビメタ」など好みの音楽のジャンルでターゲティングができます。

プログラマティック配信で広告を出稿する場合は、外部のサードパーティーデータを活用し、ターゲティングの拡張が可能です。年齢や性別に加えて、時間帯、位置情報、家族構成、年収などでターゲティングができるようになります。ただし、サードパーティーデータに関しては、今後CookieやIDFA(iOS端末の広告識別子)が規制された場合に、ターゲティングの精度がある程度落ちる可能性があります。

データを活用した効果検証

デジタル音声広告の効果検証には3つの手法が挙げられます。1つがブランドリフトで、広告接触者と非接触者それぞれ同じ数にアンケートを取り、認知や興味関心、購買意向の数値の変動を比較する手法です。

2つめがコンバージョンを計測する手法で、リッスンスルーコンバージョンと呼ぶこともあります。デジタル音声広告の場合、直接コンバージョンに至るケースはない媒体がほとんどですが、検索エンジンやSNSなどを経由して対象サイトを訪問した場合に、アトリビューション分析により間接コンバージョンとして計測する手法です。

3つめが来店コンバージョンで、特定の地点へ訪問したか否かでコンバージョンをカウントする手法です。カラオケや飲食店など、チェーン店がある商材に向いています。

効果検証については音声広告と動画広告の比較や、A/Bテストでも可能です。

デジタル音声広告に向いている商材・サービス

デジタル音声広告に向いている商材やサービスは、まず無形商材だと思います。そのため、金融やエンターテインメント、ソフトウェア、採用、イベントなどの広告は向いています。

また、流通販路が広く、商品のブランディングが購買に影響を与える、生活消費財や飲料、食品などの商材もデジタル音声広告に適しています。

反対に、フォトジェニックな商材は、視覚情報のない音声広告で魅力を伝えきるのは難しいでしょう。差別化特性を音声で伝えづらいコモディティ商品も、デジタル音声広告にはあまり向いていないと思います。

アメリカの会計事務所であるPwCが2020年に行った調査によると、ポッドキャスト広告の購入者で最も多いのは「Retail(Direct to Consumer)」つまりD2Cでした。2位が「Other」で3位が「Financial Services」、4位が「Arts, Entertainment&Media」、5位が「Pharmaceuticals, Healthcare, Drugs, Remedies」と、先ほど挙げた特徴に当てはまる商材・サービスが並んでいます。D2Cが1位なのは、商品やサービスを購入してもらううえで必要なブランドのメッセージを伝えるのに、ポッドキャスト広告が有効だからではないかと考えています。

画像提供:株式会社オトナル

同社が行った調査の中で、もう1つ気になるデータをご紹介します。2020年の出稿理由に関するデータで、51%が「Direct Response」つまり獲得を目的に出稿しています。次に多いのが「Brand awareness」(45%)で、ブランディングや認知です。果たして獲得に効果があるのか疑問だったのですが、おそらくD2Cブランドがパーソナリティーに読み上げてもらうタイプの広告を出稿し、そのうえでお試しクーポンのようなものを配布して獲得につなげているのだと思います。

なお、日本の市場における出稿理由も、獲得とブランディングがほぼ半数の割合です。

画像提供:株式会社オトナル

デジタル音声広告の活用イメージ

最後に、デジタル音声広告でできることをお伝えします。

配信時間の絞り込みやターゲティングに合わせたクリエイティブの配信

配信時間を指定したり、ターゲットとクリエイティブの内容を変えて配信したりすることができます。例えば、学生がターゲットの商材で広告を出稿する場合、行きの通学時と部活からの帰宅時では視聴時に受ける印象が異なります。そのため、あえて広告を配信する時間帯をどちらかに寄せたり、変更したりすることがあります。

また、ペルソナの性別・年代に合わせて音声のトーンや内容を変更したり、平日と休日で訴求を変えたりして、複数のアドグループとクリエイティブで運用することも可能です。

デジタル音声広告とバナーの運用

デジタル音声広告でリーチしたユーザーに、ディスプレイ広告を配信し、ユーザーからの申し込みや購買などの獲得を狙うこともできます。ユーザーがバナーと接触した際に「最近どこかで聞いたことがある」という状態をつくる方法です。

データドリブンな効果検証と運用改善

デジタル音声広告の場合、配信データのレポーティングが可能なので、数値を確認しながら改善を図ることができます。計測する数値は、広告接触者のサイト訪問数や間接コンバージョン数などです。

位置情報の履歴からターゲティング

デバイスの位置情報の履歴をもとに、ターゲティングを行うことも可能です。渋谷をよく訪れる人に配信したり、「〇〇大学の近隣△km圏内の18歳」とターゲティングしたりすることもできます。

動画広告やラジオ広告との掛け合わせ

動画広告と同一のDSPからデジタル音声広告をセットで配信することもできます。例えば、動画広告に接触しているユーザーに音声広告も配信したり、音声広告に接触したユーザーには動画広告を配信しないようにしたりといった活用法です。媒体をまたいでフリークエンシーをコントロールし、予算内でリーチを最大化することも可能です。

また、デジタル音声広告とラジオ広告をセットで配信するケースもあります。デジタル音声広告で成果の良かったクリエイティブを地上波ラジオに出稿するイメージです。マスメディアであるラジオ広告はデジタル音声広告に比べるとCPMが安価という特徴があります。

オウンドメディアとしての活用

企業がラジオを活用するケースやポッドキャストをオウンドメディアとして利用するケースもあります。メルカリが運営するmercan(メルカン)のポッドキャスト「mercan.fm」や、北欧、暮らしの道具店のインターネットラジオ「チャポンと行こう!」などがその例です。

ポッドキャストは、音声ファイルと情報をポッドキャスト配信サービスにアップロードすると、RSSのソースコードが生成され、このソースコードが読み取られることによって、Apple PodcastやSpotify、Googleポッドキャスト、Amazon Musicなどさまざまなところで聴けるようになります。自社のWebサイトに埋め込むことも可能です。

こうした企業でのポッドキャスト活用は「ブランデッドポッドキャスト」と呼ばれており、主にファンの醸成やエンゲージメントの向上、採用ブランディングに向くと考えています。特にスタートアップにおすすめなのは採用ブランディングとしての活用で、社長やメンバーの生の声をスマホで収録して伝えることができます。ブランデッドポッドキャストは、SpotifyやAmazon Musicなど、外部チャネルにコンテンツを配信し、露出を強化できる点も魅力だと思います。

ビタミンゼミ・高松さん(以下、高松) 質問です。限られた予算でデジタル音声広告を試したい場合、どれくらいの金額を見積もっておけば良いでしょうか。

八木 Spotifyやradikoの純広告の場合、最低出稿額は150万円程度です。一方、我々が主に買い付けを行っているプログラマティック広告の場合、数十万円からの出稿が可能です。

なお純広告のほうが最低出稿金額は高くなるのですが、広告枠を事前に押さえる仕組みのため、確実に広告枠に配信しきれたり、純広告の場合のみに使用できる特殊なターゲティングメニューが使えたりするなどのメリットがあります。

我々経由でも純広告出稿をできるのですが、このあたりは企業のニーズに合わせてプランを考えるのが良いかと思います。

あとは、ポッドキャスト広告であればラジオ局単位で数十万円から出稿できるため、こちらも予算がわずかなときは出稿しやすいかもしれません。

高松 では、どのようなフェーズでデジタル音声広告の施策を検討すると良いですか。

八木 スタートアップのマーケティングを考える場合、広告に求められるのはまずはブランディングよりもCPAやユニットエコノミクスの検証があると思います。

そうした意味ではデジタル音声広告はマーケティングファネルの中段から上部に位置する広告施策のため、ベンチャー企業であればSNS広告やリスティング広告などでひと通り獲得系の広告を検証してから、その次に施策としてデジタル音声広告を打つのが良いと思います。

なお、あと1~2年もすると、日本のデジタル音声広告市場でもセルフサーブ型の広告を出稿できるようになるのではと推測しています。セルフサーブというのは、Facebook広告のように広告主側で入稿できる方法です。Spotifyはすでにセルフサービスの広告プラットフォーム「Spotify Ad Studio」の提供を行っており(日本では未実装)、アメリカでポッドキャスト広告の買い付けのベータ版テストも開始しています。

そうした動きもありますので、商材が適していて、予算が確保できるスタートアップは今のうちから施策を打ってみても良いのではないでしょうか。

【今回の講師Profile】

八木 太亮(やぎ・たいすけ)@pyusuke
株式会社オトナル 代表取締役
2013年に株式会社オトナルを創業。Webメディア事業を展開後、2018年に事業を売却。その後、音声コンテンツと音声広告領域に参入し、アドテクノロジーを活用した広告出稿とクリエイティブ制作をトータルサポートするデジタル音声広告事業を展開。著書に『いちばんやさしい音声配信ビジネスの教本 人気講師が教える新しいメディアの基礎』(インプレス)がある。
https://otonal.co.jp/

 

【ビタミン株式会社】
高梨 大輔(たかなし・だいすけ)@dtakanashi
高松 裕美(たかまつ・ひろみ)@_romihee_
株式会社リジョブ(現株式会社じげんグループ)の創業役員の2人が2015年に創業し、エクイティファイナンス型のスタートアップを専門に、インハウスマーケティング支援やエンジェル投資活動を行う。100名を超える紹介制のビタミンゼミでは、信頼できる専門家から「一次情報」や業界の最新情報をスタートアップに届ける活動をしている。
https://vitaminzemi.studio.site/

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