はじめての企業YouTubeチャンネル活用

YouTubeで嫌われる6つのパターン 企業チャンネルで実践すべき「ウケる動画」の作り方

YouTubeで嫌われる6つのパターンを紹介します。(第3回)
新人マーケター

前回までの内容で、作りたいチャンネルイメージは固まったけど、具体的にどんな動画を作ればいいのかな。

中山

あっと驚く発想術とか、奇想天外な企画センスがあれば……なんて思ってませんか?

新人マーケター

思ってます!
その才能、ほしい~!

中山

それよりももっと重要なことがあります。「YouTubeで嫌われる6つのパターン」をやらかすと、センスどころの話じゃないですよ。

新人マーケター

えっ、なんですかそれ? さっそく教えてください!

【注意】本連載は企業に勤めるマーケターさんに向けて書いており、広告収益でマネタイズを目指す個人YouTuber向けではありません。

YouTubeで嫌われる6つのパターン

「成功はアート、失敗はサイエンス」なんて言ったりしますが、成功するかどうかは運やタイミングなどの不確定要素が絡むので再現性が低いです。しかし、失敗には共通するパターンがあります。それら共通点を「視聴者から嫌われる6つのパターン」として、以下にまとめました。

  1. オープニングが長すぎ
  2. テーマの不在
  3. メリットの不在
  4. 内容が難解すぎ
  5. メッセージが複数ある
  6. シンプルに聞き取りづらい

このリストの中で該当項目が2つあったらアウトです。1つだけでも視聴者にとっては、相当なストレスで、瞬時に見る気が失せること間違いなし。個人動画よりも、企業動画でやってしまいがちなので、注意が必要です。

冗長な挨拶、司会者の長すぎる前振り、演者の自己紹介……など、だらだらしたオープニングで本題がなかなか始まらず、しびれを切らして「もういいや」と離脱されるのは極めてよくあることです。

いくら中身(本編)が良くても、離脱されては元も子もありません。

6つのパターンが起きる理由はこのあたりでしょう。

YouTubeで嫌われる6パターンその理由
1. オープニングが長すぎ「会社の説明をせねば、演者を詳しく紹介せねば、効果音やアニメーションのエフェクトでインパクトをつけねば……」という気合の空回り
2. テーマの不在「動画を作れば、誰かが見てくれる」というご都合主義
3. メリットの不在「会社が作るコンテンツである以上、自社サービスを推さねばならぬ」という強迫観念
4. 内容が難解すぎ「しっかり動画を視聴すれば理解してもらえるはず」という希望的観測
5. メッセージが複数ある「情報量は多ければ多いほど良い」という思い込み
6. シンプルに聞き取りづらい公開前のチェックが不十分

企画やネタが大事なのは言うまでもないですが、上記をクリアしていなければ、動画を作っても絵に描いた餅で終わります。ご注意ください。

好かれる動画の最低条件

じゃあ、どうすれば見てもらえるのか?

答えはシンプルで、「上記6つのNG行為の逆を心がければよい」のです。

1. オープニングは15秒以内

オープニングは短い方がいいですが、理想は15秒以内です。できれば動画のテーマ説明もこの時間内に収めたいところ。

「そんな短い時間で会社と演者の紹介、テーマを伝えるのなんてムリ!」と思いますか? でも、視聴者が我慢してくれる長さが約15秒なので、選択の余地はありません。

2. テーマを伝える

「要するに何の話?」かを伝える。もったいつけずに、さっさと伝えましょう。これもオープニングに含めるといいですね。

3. メリットを提示

動画を見ることで、得られる価値や根拠を提示します。視聴者の「なんで私がこの動画を見なくちゃいけないの?」という心の声に回答するのです。

4. 内容はとにかくシンプルに

掘り下げたくなる気持ちはグッと抑え、シンプルに。「シンプル=浅い話」という意味ではなく、「中身の濃い話を、誰にでもわかるよう伝える」工夫をしましょう。

5. メッセージはひとつ

1動画、1メッセージ」は守りましょう。あれもこれもと情報を追加して、補いたくなる誘惑に負けないようにしてください。視聴者は基本的に受け身なので、いくつものメッセージを頭で整理してくれません。

6. 聞き取りやすい音声品質

つい映像に気がとられ、音声は疎かになりやすいのですが、実は非常に重要です。再生してみたら音が聞き取れないとか、雑音を拾いまくってしまった、などはよくあるミスです。撮り直しができませんので、本番直前にテストするのがおすすめです。できれば、会議室など静かな環境を確保しましょう。

具体例:ミエルカチャンネル Googleコアアルゴリズムアップデート動画

上述の好まれる動画の最低条件を実際に行った、ミエルカチャンネルの「6月3日のGoogleコアアルゴリズムアップデートの速報動画」を例にとると次の通りです。実際の動画は、以下のリンクからご覧ください。

1. オープニングは15秒で0~6秒: 「大事なシーン」を予告風にチラ見せ(期待感を高める)
2. すぐさまテーマを伝える
(今回は●●について話します)
7~17秒: もったいぶらずにさっさと言う
3. メリット(=視聴理由)速報であることがメリットなので、今回は割愛
4. 内容はシンプルに2021年6月のコアアルゴリズムアップデートの特徴と今後の予想
5. メッセージはひとつ2021年6月のコアアルゴリズムアップデートについて
6. 音に気をつかう静かな環境でのZoom撮影なので雑音はとくになし

ちなみに、15秒のオープニングで挨拶とテーマ紹介をして、すぐさまメリットを伝えるスタイルに編集すると、次のような不安を感じることがあります。

  • 「スピードが速すぎないか?」
  • 「そっけなさすぎて視聴者に失礼では?」
  • 「端折りすぎて伝わらないのでは?」

さらに、内容がシンプルでメッセージがひとつだと、次のようにモヤモヤ感に苛まれるかもしれません。

  • 「いくらなんでも、あっけなくない?」
  • 「動画の時間が短すぎるよね?」
  • 「情報が少なすぎて不満に感じるのでは?」

そこで、次にするのがデータチェックです。

ウケたか、ウケなかったかはデータで判断

出した動画がウケたか、滑ったか? を判断するのに、感覚に頼らないようにしましょう。

なお、「ウケた」とは、SNSで拡散したとか、Yahoo!ニュースに掲載されたって意味ではありません。そもそも、企業チャンネルの目的は量より質。「不特定多数に拡散される」ではなく、「必要な層に届き、しっかり視聴される」ことが大事です。

YouTubeアナリティクスでチェックすべきは、以下の2点です。

  • CTR(どれくらいの人が興味を持ってクリックしたか?)
  • 視聴者維持率(見た人の興味をどれだけ引っ張れたか?)

CTRは動画そのものよりもサムネイルのクリエイティブに左右されるので、内容の評価とはちょっと違いますが、「視聴者維持率」は「何秒で何割が離脱したか」がグラフでハッキリわかります。

テキスト記事と違って赤裸々に見えてしまうので、確認するときドキドキするデータです(笑)。

下記動画は、オープニング終了時点(20秒)で23%が離脱し、視聴維持率は54.1%です。

チャネルによって、視聴維持率は異なりますが、企業YouTubeチャンネルでは「さほど悪くない」部類に入ります。個人的目安は、以下の通りです。

  • 開始15秒で40%離脱: かなり悪い
  • 開始15秒で25%離脱: ふつう
  • 開始15秒で20%未満: 良好

また、CTRの目安は10分前後の動画だと、目安値は以下の通りです。

  • CTR4%: 及第点
  • 5~6%: 良い
  • 8%以上: すごく良い

参考に、YouTubeアナリティクス「グラフガイド」を紹介すると、グラフ形状はこのような解釈ができます。

imp数や、高評価と低評価の率、視聴者層の登録者と未登録者の比率、あたりを参考にしても良いですが、再生数やチャンネル登録数が少ない初期だと重要性は低いので、とりあえずはスルーでOKです。

ちなみに、上述のミエルカチャンネル Googleコアアルゴリズムアップデート動画では、公開後3日間のCTRは9.0%とかなり良好で、視聴者維持率は49.8%と及第点以上の数字を出しています。

(再掲)

ひとつ断っておきますと、「YouTubeで嫌われる6つのパターン」は必要条件でしかなく、絶対条件ではありません。すべてクリアしているのに、それでも視聴されなければ、残念ながらそもそもの企画がつまらない(or 需要がない)証拠です。

当たり前ですが、企画は大事です。

社内のフィードバックは意外な落とし穴

少しでもYouTubeをやった方なら、首がもげるほど激しく頷いてくれる確信があるのですが、「費やした時間&投じた努力と結果は比例しない」ものです。

「あんなにがんばったのに……」と気落ちすることもあれば、「雑に作った手抜き動画なのに……めっちゃ見られた」と拍子抜けすることも。

何が評価されて、されないのか、やってみないとわからないのが正直なところです。YouTubeを始めて2年になりますが、いまだにそう思います。

先ほど「出した動画がウケたか、滑ったか? を判断するのに、感覚に頼ってはダメ」と述べました。同じことはフィードバックにも当てはまりまして、社内の声は大事だけど、盲目的に信じ込むのもまずい、という話を最後にします。

社内の評価と社外のそれは往々にして一致しないものです。たとえば、「視聴者には未知=価値が高い情報」で、コンテンツ化する価値があるのに、社内の「そんなわかりきった情報に価値はない」「もっと専門的に掘り下げたコンテンツにすべき」という声に押し流されてしまうケースもあります。

これは、YouTubeに限らず、どんなコンテンツマーケティングでも良くあることです。

内情を知りすぎて、業界に精通した内輪のフィードバックは、意外にアテになりません。保険として感想を集めておきたいのが人情ですが、そこにあえて耳を貸さず、「視聴者が求める内容とは?」の一点突破で企画したほうが、需要の高いモノになる可能性が大です。

「おもしろかった」「役に立った」という評価は社員ではなく、お客様(視聴者)が決めることです。自分の仮説が正しかったかどうかはデータで振り返って、社内に周知していきましょう。

そうすることで、「あいつに企画を任せておけば、大丈夫」と認めてもらえるだけでなく、斬新な企画の通過率も高まるというものです。

たとえば、斬新な企画の例としては次のSEOやってる担当者だけがわかる「あるある」10選の動画です。「SEOの競合調査中に見つけたサイトを『わかりやすい』と読みふけり、気が付けば1時間以上時間がたっていた」といった、SEOの担当者がやりがちなことをまとめた動画です。

これまで真面目な解説動画しか出さなかったのを、「新たな層にリーチしたいからおもしろい系コンテンツやります! 成功するかどうかはやってみないとわからないのでテストもかねて!」って発案してGOした企画です。

まとめ

ここまでお読みいただき、「YouTubeで嫌われる6パターン」を通じて、YouTubeの好まれる動画の基本がわかったと思います。で、次に湧いてくるギモンは「着想してから動画を出すまでってどんな作業と流れがあるの?」でしょう。

次回は、「着想→企画→スクリプト→撮影→編集→チェック→公開までのフローってどうなっている?」をお伝えします。

 

 

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