[マーケターコラム] Half Empty? Half Full?

周囲から共に働きたいと思われるマーケターになるためには?

マーケターのリレーコラム、今回はエイチームフィナジー・稲垣昌輝氏。個人と個人、個人と企業が継続的に良い関係を築くために必要な考え方や行動について。
エイチームフィナジー 稲垣昌輝氏

株式会社エイチームフィナジーの稲垣昌輝(@Gackey_seo)です。

突然ですが、皆さんは周りから共に働きたいと思われていますか?

人というものは、あらゆる表現を使って自己利益欲求を表に出さず、他者/他社と関わり合って自らにいかに利益を残すか、を顕在的にも潜在的にも考えてしまう生き物だと思っています。

結論から申し上げると、

◆個人間の場合

 他者にとって自分と付き合うメリットはあるか?

◆個人と企業の場合

 支払う人件費に対して、何倍の利益を残してくれるか?

※企業間の場合は割愛

上記のように、関係性の違いに差はあるものの、結局は「付き合うメリット」が大切になってきます。

この関係を継続させるためにヒト・モノ・カネ・時間などのコストを支払い、いわゆる「良い関係」を築いています。

今回は、個人間、個人と企業それぞれのパターンに分け、継続的に良い関係を築くために必要な考え方や行動について書いていきたいと思います。

共に働きたいと思われる必要性

最近、「共に働きたいと思う同僚や上司がいない」といった悩みを友人から相談される機会がありました。

私は、基本的には他者を変えることは不可能だと考えています。

だとすれば、「共に働きたいと思う同僚や上司がいない」という考え方を180度転換して、「同僚や上司から共に働きたいと思われる」にはどうすればいいかを考えてみてはどうか、とアドバイスしました。

一般に、自分にできることを考えてみた方がコントロールできる範囲が広く、他責で考えるよりは結果的に望んだ状態を作れます。

他者から見た自分は、同僚であり、場合によっては上司や部下にあたります。「同僚や部下から見たときに、自分は共に働きたいと思える人だろうか」と、ぜひ一度問うて見てください。今、あらゆる人の顔が浮かんだかと思いますが、「自分は他者から共に働きたいと思われている」と自信を持って言いきれる状態を作れているでしょうか。

そもそも、なぜ共に働きたいと思われる必要性があるのか、という点ですが、その理由は3点あると考えています。

1点目は、定性的な表現ではありますが、周りの人が自分と付き合うメリットを感じない状態なのに、それを誰かに求めるのは都合が良すぎます。付き合うメリットを感じてもらえないビジネスマンは、転職や独立をしてもスムーズに成功する可能性は低いと思っています。

2点目は、ビジネスは人が協力し合い、人が作り出し、人に支えられ、人がお金を払い、人が運営していく、いわば人の関わりなくして成立しないものです。この社会においては、共に働きたいと思われる、言い換えれば人とうまくコトを推進できると思われるメリットは非常に大きいです。

3点目は、組織の中で共に働きたいと思われるためには、少なくとも自身を商品としてマーケティングする力や自己ブランディングを行うスキルが必要不可欠です。そのため、「共に働きたい」と思われている人は、きっとそういったスキルを持っている人だろうとも思われることになり、扱う商品やサービスのマーケティングを行う際に、より説得力が増すと考えています。

他者視点で、自分が何を提供できて、共に働くことでどういったメリットがあるのか、間接的に、時には直接的に伝えていく必要があります。そして、それらのメリットが正しく認識されるためには、アプローチ方法・言い方・頻度に配慮しつつ、そもそもの提供価値を磨いておく必要があるのです。

このように、一見非常に単純なテーマと思われがちな今回のテーマは、意外と難易度が高い内容だということがわかっていただけるかと思います。

自らが望む状態は、自らが自分の責任で考えて作りにいくことが必要であり、他者にそれを求める「期待」ありきの他責であってはならないのです。

共に働きたいと思われるために(個人間の場合)

個人間で「共に働きたい」と思ってもらうためには、相手に自分と付き合うメリットをいかに感じてもらえるか、つまりどれだけメリットを与えられるGiver(与える人)となれるか、ここに尽きると思います。

では、メリットとは具体的にどういったものがあるか見ていきましょう。

メリットの種類:

  1. お金 ≒ 給与/賞与
    • └ 評価
      • └ 成果 ≒ 利益創出
        • └ 進捗 ≒ スキル/行動/スピード
        • └ 情報 ≒ 専門的なノウハウ/希少性の高い情報
  2. 気分 ≒ 楽しさ/居心地/ストレス解消/かわいげ/モチベーション
  3. 成長 ≒ 思考のアップデート/スキル
  4. 地位 ≒ 優遇

上位概念には、お金・気分・成長・地位が並び、お金については紐づく下位概念を記載しています。相手のタイプに合わせて、どのメリットを提供するかを選択する必要がありますが、仕事においての付き合いなので、わかりやすいところで言うと、最終的にお金につながる成果や評価がポイントだと思います。

相手から高評価につながるように配慮することが、結果的に「共に働きたい」と思われるきっかけを作ることができると思います。蛇足ではありますが、配慮とは「良い結果になるように、あれこれと心をくばること」です。

もちろん相手も人間なので、気分や求めるメリットは変化します。相手の状態を観察し、単純に共に働いていて楽しいと思ってもらえるように自己開示をして笑いを誘ったり、相談に乗ったり、ストレス解消になるようにコミュニケーションを変えていくことも重要になってきます。

現状、会社の同僚や上司、部下からどれぐらい「共に働きたい」と思ってもらえているかどうかを知るには、たとえば組織の中のさまざまなプロジェクトから指名でお声がかかることを指標に測ってみてはいかがでしょうか。

共に働きたいと思われるために(個人と企業の場合)

個人と企業は、個人間と違って非常に明確です。

支払う人件費に対して、何倍の利益を残してくれるか、ここがポイントです。

営利企業は、営利を目的として一定の計画に従って経済活動を行う経済主体であるため、当然のことです。

予定した計画以上の進捗で独自のスキルや情報を駆使して成果を出して直接的に利益創出すること以外に、利益を守るリスク回避、チーム力を向上させる動きによる間接的な成果へのアプローチも、企業が特定の個人と共に働きたいと判断するメリットと言えます。

メリットの種類:

  1. お金 ≒ 利益
    • └ 成果 ≒ 良い結果
      • └ 成果 ≒ 利益創出
        • └ 進捗 ≒ スキル/行動/スピード
        • └ 情報 ≒ 専門的なノウハウ/希少性の高い情報
  2. リスク回避 ≒ マネジメント/トラブル回避
  3. チーム力 ≒ 他者が生む利益を大きくする/教育
  4. 地位 ≒ 採用力強化/離職防止効果
  5. 存続 ≒ 安定収入/継続顧客

企業が特定の個人とどれだけ共に働きたいかを測る指標は、ずばり給与額です。当たり前ですが、共に働きたい人は給与額が高く、そうでない人は給与額が低くなります。

ここまで、「企業と個人」という言葉を用いて、あえて「企業」という解像度を粗めに述べてきましたが、主語の大きさに注意してください。というのも、「企業」「会社」という言葉は、何かを指しているようで、じつは何も指していない言葉だからです。

たとえば、給与額を決めているのは、企業ではなく、特定の上司です。「誰か」を特定できないぼやっとした「企業」が給与額を決めることは絶対にありません。そのため、給与額を指標にして「企業が特定の個人とどれだけ共に働きたいか」を測る場合には、結果的に「個人間の共に働きたいか」を数値化した状態に近いイメージになります。

個人も所属する企業を厳しい目で見定める必要あり

個人間はGiver(与える人)のスタンスが重要で、個人と企業では利益をもたらすことが重要だということを、自分の責任と貢献を軸に述べてきました。一方で、自らの「誰と共に働きたいか」もキャリアを考える上で大切にしていただきたい考え方です。

対同僚であれば、個人スキルや必要なリーダーシップを走りながら身に付け、切磋琢磨して共にサービスを成長させていける成長し合える時間を過ごすことは非常に有益です。しかし、意見もせず、会社を辞めることもなく文句ばかり言いながら「つまらない仕事」に時間を使う同僚と共に過ごす時間は有益とは言えません。

対上司であれば、会社が向かうべき方向や戦略を考え、自分ができること、すべきことを目指す状態に向かってそれぞれやりきることに時間を使うことは有益です。反対に「長い物には巻かれろ」という思考で主体的な行動を抑制し、流れに身を任せる空気作りやあきらめの精神を醸成する上司と過ごす時間は必要ありません。

自分が無益だと感じる部分については、当事者意識を持って関係者に必要な意見は伝え、具体的な提案をするなど積極的に行動するべきです。

安易な転職を促すつもりはまったくないのですが、常に「この会社のこのポジションで働き続けるべきか?」「そもそもこの業界にいても大丈夫なのか?」「他にいい選択肢はないか?」を探り続けることは、キャリアや人生の主導権を握り続けるためには欠かせない問いだと思っています。

「共に働きたい人がいない」と嘆くのではなく、自分のできる範囲で「共に働きたいと思われる人」になるために行動することは重要です。その上で、当事者意識を持って、自らのキャリアパスを優先して、より良いビジネスライフを叶えていく人が少しでも増えていけばいいなと願うばかりです。

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