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成果報酬型の契約にご用心:「ザ・シークレット」とSEO担当者との訴訟

願わくは、この投稿がSEOmoz読者各位の御意にかないますように。

「ザ・シークレット」は、映画、本、テレビで1つのブームを引き起こしたシリーズ。私が2007年11月に書いた記事では、「ザ・シークレット」の関係者たちと、SEOを担当したダン・ホリングズ氏との間の奇妙な訴訟について解説していたけれども、それから数か月、双方とも忙しく過ごしているようね。

背景の概要

※Web担編注

「忠実義務」は、あまり聞き慣れない用語だが、次のようなものを意味する(企業年金連合会の説明より)。

「英米法の信託法理に由来するもので、『他人のために財産の管理・処分を任された者は、専らその他人(受益者)の利益のために行動し、自己の利益を図ってはならない』という義務。受託者責任の最も本質的な義務である」

ザ・シークレット(そしてザ・シークレットの知的財産の所有に関わる、すべての国際的なコングロマリットおよび人々)は、商標権侵害忠実義務違反でホリングズ氏を提訴したの。ザ・シークレットの訴状では、同氏がザ・シークレットのブランドのもとで自分の商品を販売し、正規商品のベンダーと認可を受けてていない裏取引を行い、SEOに関する自分の知識を概ね個人的利益のために利用して、ザ・シークレットの商標から利益を得ていたと訴えているわ。

ホリングズ氏は、訴状に対する答弁書の中で、自分に対するこうした申し立てを完全に否定したの。

注目すべき点は、実際に訴訟になる前に、ホリングズ氏とザ・シークレット側が金銭をめぐって争っていたということ。ホリングズ氏は、ザ・シークレット側が同氏に支払うべき報酬を支払っていないことを、非公式に非難していたの。未払いの報酬に関する非公式の非難をやめさせるために、ザ・シークレット側が先手を打ってホリングズ氏を提訴したというのは、証明はできないけどあり得ることね。

それがザ・シークレット側の意図だったとしたら、効果はなかったということになるわ。2008年7月、ホリングズ氏はザ・シークレット側を相手に訴訟を起こしたんだもの。

ザ・シークレットに対するホリングズ氏の主張

ホリングズ氏は、ウェブでのマーケティング・キャンペーンによる粗利益の10%が支払われるべきだとして、2008年7月にザ・シークレットを提訴したの。両者は書面での契約を交わしていなかったんだけど、ホリングズ氏は、ザ・シークレット・コングロマリットの中心人物の1人、ロンダ・バーン氏からのメールがあると主張しているわ。そのメールでは、ホリングズ氏に以下のような条件で支払うことを約束しているというのね。

放送に関して1か月あたり8,000米ドルと、ザ・シークレットのウェブサイトを経由した全売上の粗利益の10%を支払います。実のところ、この支払額はNine Networkへの支払額より多いのです。Nine Networkが受け取るのは、あなたの取り分も差し引いた後の、Prime Timeの純利益の10%です。

ホリングズ氏は、(それがどういう意味であれ)「全売上の粗利益」の10%を受け取っておらず、この額が300万ドルを超えるはずだと主張しているの。同氏はさらに、粗利益のうち彼の取り分がまもなく支払われるということを確約するものや、大きな金額を受け取るために有限会社を設立するよう指示するものなど、「多数の通知」がザ・シークレット側から送られてきたとも主張しているわ。

結論:成果報酬型の契約には注意すること

言うまでもなく、この件に関して誰が真実を語っているのか私にはわからないわ。だけど、双方が訴訟関連費用に大金を使っていることは明らかね。裁判では、司法管轄権と証拠開示についての争いが続いているわ。ザ・シークレット側は、ホリングズ氏よりも多くの資金を投じようとしているの? ホリングズ氏は欲を出しちゃったのかしら? 私にはわからない。でも、双方の弁護士たちが頑張っているということはわかるわ。

私は以前、歩合制や成果報酬型の契約にまつわる危険性に関する記事を投稿したことがあるわ。途方もなく大きな利益が得られる可能性があるけれど、同時に途方もなく大きなリスクもあるものなのよ。思い切ってこうした仕事を引き受ける場合は、書面による、署名入りの確かな契約書を必ず作成すること。今回取り上げた訴訟でも、ホリングズ氏が文書で契約を交わしていたら、今のような困難な状況に陥っていないでしょうね。署名入りの文書で契約を交わすのを忘れないで!

双方の関係に基づき、ホリングズ氏がザ・シークレット側に忠実義務を負っているのかどうか、この訴訟ではまだ判断が示されていない。一般的なことを言えば、おそらくSEO担当者や検索マーケターは顧客の代理人でも受託者でもないはずだわ。だけど、両者の関係の性質や交わした契約によっては、SEO担当者や検索マーケターが特別な忠実義務を持つ代理人になる可能性はある。

顧客に対する忠実義務を知らないうちに負わされたりしないために、契約書の中で、自分が顧客の受託者でも代理人でもなく、請負人であることを明示しておきましょう。顧客と自分との関係を明確にしておくことは、自分が先方の競合企業とも仕事ができるということや、他者を排除して顧客の利益を拡大する法的な義務を負っていないということを、相手に理解してもらうのに役立つわ。

それでは、ごきげんよう。
サラ

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