Web担当者必見! リサーチ データ&市場調査レポート

業務アプリのデザインには"操作性"が最重要との声/Webアプリケーションのビジネス利用調査

リッチ・インターネット・アプリケーション(Rich Internet Application 以下RIA)の普及と発展を目的とするRIAコンソーシアム(以下RIAC)は、日本市場におけるRIAに関する市場調査の結果をまとめ発表した。

RIACでは、市場動向研究ワーキンググループを中心に定期的な独自アンケート調査を行っており、今回で第3回目を迎える。これまでの調査では「RIA」という言葉自体の認知度が低いと判断し、RIAに関する直接的な設問を避けていたが、今回初めてRIAの導入状況に関する設問を設けたところ、システム関係者のおよそ20%がRIAを「導入済み」と回答した。また、前回調査からデザインに関する設問を強化しており、その結果「操作性」に対する期待、また現状の不満が読み取れたと報告している。

本記事は、RIAC 市場動向研究ワーキンググループが実施した「Webアプリケーションのビジネス利用調査」の結果をもとに、編集部がRIACの許諾を得た上で執筆・作成している。

※詳しい調査概要に関しては、記事の末尾に記載している。

Webアプリケーションの導入状況
―イントラネットでの導入率は9割を越える

BtoB(企業間)、BtoC(消費者向け)での各種業務分野におけるWebアプリケーションの導入は、2007年9月の調査に比べ5ポイント程度の増減にとどまり、大きな変化はみられない(図1、図2)。全体的には、前回調査同様「顧客管理(CRM)」や「販売管理」、「プロモーション」のといった販売促進に関する業務で利用される比率が高い。

その一方で、イントラネット(企業内)の導入率は「使っていない」を除いた90.4%と9割を超え、BtoB(62%)やBtoC(49%)と比較して圧倒的に高い数値となっている(図3)。

図1 BtoB(企業間)におけるWebアプリケーションの利用用途(複数回答)
図1 BtoB(企業間)におけるWebアプリケーションの利用用途(複数回答)
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ
図2 BtoC(消費者向け)におけるWebアプリケーションの利用用途(複数回答)
図2 BtoC(消費者向け)におけるWebアプリケーションの利用用途(複数回答)
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ
図3 イントラネット(企業内)におけるWebアプリケーションの利用用途(複数回答)
図3 イントラネット(企業内)におけるWebアプリケーションの利用用途(複数回答)
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ

RIAの浸透度
―システム関係者の7割はRIAを認知

対象全体のRIAの認知度は、前回調査の29%から33%とやや増加している(図4)。特にシステム関係者に限定すると、およそ7割の認知度を得ている。RIACでは「昨年からメディア等の露出度が影響したことも要因のひとつと考えられるが、今後本格的にRIAが必要な時代に突入するのではないか」と分析している。

図4 担当業務別 RIAの認知度
図4 担当業務別 RIAの認知度
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ

各種Webアプリケーション技術の認知度
―AjaxやRubyへの期待が垣間見られる

Webアプリケーションと言われたときに最も認知されているのは「Java」や「Flash」といった技術であり、その認知度は8~9割を誇っている(図5)。前回調査からの増加率という点では「Ajax」が8ポイントと他項目に比べやや高く、今回の調査で始めて追加した「Ruby」も全体で6位にランクインしている。「技術的な側面からもRIAを前提とした知識、技術の習得が始まっているのではないか」(RIAC)

図5 知っているWebアプリケーションの技術(複数回答)
図5 知っているWebアプリケーションの技術(複数回答)
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ

RIAの導入状況
―システム関係者の2割が「導入済み」

今回の調査では、初めてRIAの導入状況を設問に加えたが、8%が「導入済み」と、想定した以上に導入されているようだ。特にシステム関係者に限定すると、「導入済み」が20%あり、さらに「導入予定」「検討中」「関心がある」をあわせたおよそ4割がRIAの導入に関心を示している結果となった。

図6 担当業務別 RIAの導入状況
図6 担当業務別 RIAの導入状況
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ

Webアプリケーションにおけるデザイン
―デザインで最も重要な要素は「操作性」

「業務で使っているWebアプリケーションのデザインに満足しているか?」という設問には、44%が「いいえ」と回答している。満足度は前回調査と比較して10ポイント近く増加してはいるが、未だ半数はなんらかの不満を抱いている(図7)。

図7 Webアプリケーションに対するデザインの満足度
図7 Webアプリケーションに対するデザインの満足度
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ

また、「デザインの最も重要な要素は何か?」という設問には、前回調査と同様に60%以上が「操作性」と回答し他の項目を大きく引き離している(図8)。

図8 Webアプリケーションのデザインとして最も重要な要素
図8 Webアプリケーションのデザインとして最も重要な要素
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ

業務アプリケーション対するデザインの必要性に関しては否定的な意見も聞かれるが、今回の調査では8割以上が業務で使用するWebアプリケーションにデザインが必要であると回答している(図9)。

図9 業務におけるWebアプリケーションのデザインの必要性
図9 業務におけるWebアプリケーションのデザインの必要性
出展:RIAコンソーシアム 市場動向研究ワーキンググループ
◇◇◇
これらの調査結果を受けてRIACでは次のようにまとめている。

Webアプリケーションに期待することは「操作性の向上」が第1位であり、デザインの最も重要な要素は「操作性」という結果が得られた。これを素直に受け取るならば、デザイン(=操作性)の向上こそが最大の課題となっており、業務アプリケーションにもデザインを求める時代が始まったと言えるのではないか。また、現時点の業務アプリケーションの開発現場の最大の課題は人材という声も多い。アプリケーション開発の中で、操作をデザイン(設計)できるように教育を受けた人材は決して多いとは言えず、業務知識とデザイン(操作性)を理解できる人材育成が早急に求められていると考えられる。

調査概要

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  • 調査対象条件
    • 調査名:Webアプリケーションのビジネス利用調査
    • 調査対象:業務でWebアプリケーションに関わるビジネスマン
    • サンプリング方法:10代を除く、全国地区、全業種を対象
      個人事業主は除き、従業員50名以上の規模
    • 有効回答者数:510名(有効回答数が500に達した時点でアンケート終了)
  • アンケート形式
    • 調査形式:インターネット上に設けたアンケートサイトでの自記式
    • 調査形式:全10カテゴリ 設問総数30問
    • 調査時期:2008年2月~3月
    • 調査機関:マイボイスコム株式会社
RIAコンソーシアムについて
RIAコンソーシアムトップ画面

RIAの普及・発展、ビジネスへの活用推進を目的とし、関連技術や課題・解決策の研究および情報収集等に取り組むべく、業種を超えた企業の参画によってスタートしたコンソーシアム。RIAの基盤技術の標準化や様々なビジネスへの活用を推進している。2003年末に設立され、2008年9月現在では34社の会員数を誇る。

http://www.ria-jp.org/index.html

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