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実は検索の40%を占めるローカル検索市場――マイク・ブルメンタル氏インタビュー(前編)

ブログ「グーグルマップとヤフーローカル検索(Understanding Google Maps & Yahoo Local Search)」のマイク・ブルメンタル氏が、ローカル検索(地域特化型検索)の分野で急速に人気を集めているという話を、2007年8月くらいにあちこちから耳にした。そこで僕は彼にメールを送って、それ以来ずっとインタビューできる機会を待ち望んできたんだ。

そしてうれしいことに、ようやく彼からOKの返事がもらえた。さあ、楽しんで!

Mike Blumenthal's Local Search Blog

あなたのバックグラウンドについて、よく知らない読者もいるでしょうから、あなたの人となりや仕事、ローカル検索業界に入った理由などを簡単に紹介してもらえますか?

前の仕事は、住民数25万人ほどの、細分化された小さな市場を相手にする小さな会社の経営者でした。市場をすべて網羅するものとして、7つの電話帳が必要な規模でした。

私の家業には、8つの主要製品部門があり、40の広いエリアを対象に製品を販売していました。その多くは、それぞれに独自のマーケティングとプロモーションが必要でした。私たちの製品が相手にする範囲すべてについて、7つの電話帳すべてに広告を載せるのは非常に費用がかかる困難なことでした。

そして、1995年に私たちがウェブデザイン事業へ参入した後には、いずれインターネットがローカルマーケティングで大きな役割を果たすだろうことは明確になっていました。2001年、私たちは小売事業をすべて売却して、地域企業向けのウェブ開発だけに専念することにしました。

SEMをある程度学んでいくうちに、ローカル検索の非常に長いロングテール現象に精通するようになりました。つまり、「サービス+地域」といった検索です。2004年にGoogle Localを知ってからは、セールスに利用していた7つの電話帳を捨て、コンピュータをアナログの電話機につなぎ、それ以後、ずっと前進を続けてきました。このやり方は非常に実用的で、私は毎日大変な魅力を感じていました。それからまもなく、ロジックやランキングの特徴を研究し、ノートにまとめるようになりました。

2006年の秋、私が求めていたようなローカル検索マーケティングのアプローチについて、検索マーケティング業界ではまだだれも言及していないことに気づき、自分が知っていると思ったことを書き始めたのです。ローカル検索のロジック、非論理性、政治学、社会的コンテキストに病みつきになりました。私の理解がどのレベルに到達しても、もっと深いところにさらに複雑でおもしろいレイヤーがもう一層あるように思え、そして必ず、自分がどうしても答を見つけなければならない疑問がまた1つ生じたような気がしていたのです。

現在は、国内外を問わず、ローカル検索市場で地図サービスや地域情報サービスについてより深く知りたいという企業向けのコンサルティングを手がけていて、市場調査のアドバイスやツールを提供しています。地元のウェブデザインのクライアントには、サービスの一環としてガイダンスを提供していますが、特に厄介な問題を抱えていたり、困っている場合には、他の地域の中小企業の仕事も引き受けることがあります。

検索クエリの40%近くが、何らかの地域的な指向性を持つとの推計がありますが、この推計値はどの程度当たっていると思いますか? それから、現在こうした地域指向の検索クエリはすべて、何らかの地理的要素が検索エンジンによって適用されていると思いますか? 将来的にはどうでしょう?

この調査結果は、私が「ローカル検索の師」と仰ぐグレッグ・スターリング氏のものです。方法論および数値はまだよく見ていないので、40%という数字の確度について直接言及することはできませんが、ソースは完全に信頼できるものですし、ロジックも有効だと思います。

※Web担編注 言及されている「Local Numbers: Setting the Record Straighter」の概略は以下のとおり:

1年あたり310億ドル(3兆1000億円)が米国内のローカルマーケティングに費やされている(紙の電話帳に約150億ドル、三行広告に約180億ドル)。

しかし、ローカルテレビ局、電話帳、新聞、ローカルラジオ局、その他アウトドアやダイレクトメールを合わせると1010億ドル以上になるはず。

現在、ネットの「ローカル検索」に費やされている広告費は12~15億ドルしかなく、オンラインにおける消費者のローカルコンテンツの利用状況を反映していない。

ローカル市場は、人々が想像するよりも大きいはず。少し古いが、資料は次のとおり。

  • 米国のネットユーザーは1億7200万人(comScore、2006年5月)
  • ローカル検索(検索+インターネットイエローページ)の利用者は1億900万ユニークユーザー(comScore、2006年7月)
  • 求職情報の利用者は4980万ユニークユーザー(comScore、2006年2月)
  • 自動車情報の利用者は4200万ユニークユーザー(企業サイトを除く、comScore、2006年4月)
  • 不動産情報の利用者は4200万ユニークユーザー(comScore、2006年4月)
  • 三行広告サイトの利用者は3740万ユニークユーザー(comScore、2006年7月)
  • 新聞サイトの利用者は5500万ユニークユーザー(Nielsen//NetRatings、2006年2月)
  • 地図サイトの利用者は6510万ユニークユーザー(comScore、2006年3月)
  • 旅行情報サイトの利用者は4100万ユニークユーザー(上位10サイトのみ、Nielsen//NetRatings、2006年8月)
  • 出会い/デートサイトの利用者は3160万ユニークユーザー(comScore、2006年1月)
  • ショッピング情報サイト(購入はオフライン)の利用者は8080万ユニークユーザー(Dieringer Research Group、2005年)

2006年7月にcomScoreは検索の13%がローカル検索だと発表した。

消費者調査のデータから自分で計算してみたら検索の20%にローカルの意図があった。

当時comScoreの上級副社長だったジム・ラリソンは、実際のところ、35%、もしかしたら40%の検索がローカル検索だと明かしていた。

この調査は、ローカル検索を理解するうえで、それを映し出すのに役立つレンズとなるでしょう。結局のところ、それが10%であれ、40%であれ、あるいは60%やそれ以上であったとしても、そんなことはたいして重要ではないのです。ローカル検索を必要とし、そこから利益を得られる業界の1つにいるのであれば、その人にとってローカル検索は必要なもので、おそらくはローカル検索の迷路を案内してくれる専門家のサポートが必要となるでしょう。こうしたものを必要としていて、強力なプレゼンスを獲得できていないというのであれば、それは、昨年の12月に広く報じられた花屋の例に見られるような、まったくの災難と言っていいと思います。あの花屋は、信頼すべき特別な検索結果として現れるグーグルのOneBox表示を獲得したライバルに抑え込まれたのです。

ローカル検索とは、ROIがより明らかになるにつれて地域性を備えることになる何百万というニッチ市場の集まりなのです。ローカルデータの精度が高まり、機能的なモバイル技術が普及するにつれ、ますます多くの企業が影響を受け、ローカル市場に参加して利益を得ることになります。

あなたは最近のブログ記事で、ローカル検索にとって困難な問題について書いていましたが、正確なローカル検索の結果を返すということに対して、検索エンジンが抱えている最大の問題は何だと考えますか? 詳しく教えてください。

うーん……技術的な不具合は多数あります。おかしなカテゴリに表示されるという不満が続出したりマップスパムが可能だったり(右図)、グーグルマップのクーポンの期限切れバグ(まったく、せっかくのリンク集めなのに!)など、問題はいろいろです。

しかし、結局のところ検索エンジンが抱えている最大の問題は、整合性とか透明性、信頼性といったものでしょう。主な利害関係者、すなわち検索者およびオフラインの企業は、スパムがなく、透明性があり、使いやすくて意味のあるフィードバックをもたらすシステムを利用する資格があるのです。

電話帳という古いシステムは、料金が高いけれども、(事業主の立場から見て)速くて便利でした。それを、無料ではあるけれども、どう見ても遅く、専門の技術者を必要とする使いにくいシステムに置き換えるのは、多くの中小企業にとって妥当と見なせるトレードオフではありません。

グーグルが直面している問題は、技術的には複雑ですが解決可能なものです。ここで利害関係者の信用を失えば、それは永遠に消えてしまうかもしれません。グーグルは、ローカル検索が抱える多くの問題を解決する機会に恵まれていると思います。ただしそれは、グーグルが自分たちの新しい責任を認識すればの話ですが。

今回は、ローカル検索市場の現状について、ブルメンタル氏がどのように捉えているのかをお伝えした。次回は、今後のローカル検索市場の姿と、より具体的な点についてお届けする。→「ローカル検索最適化の10箇条+α――マイク・ブルメンタル氏インタビュー(後編)」を読む

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