ECサイトのクラウドサービス移行(構築)で必ず押える点!2015年からはレスポンシブも。

ECサイトのクラウドサービス移行(構築)で必ず押える点!2015年からはレスポンシブも。
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ECサイトのクラウドサービス移行で押さえるべきポイントとは

今運用中のECサイトを今後クラウドサービスへ移行する場合、もしくは今後ECサイトをクラウドサービスで構築検討されている場合(特に今後(2015年)移行実施する場合)を考慮しECサイトのクラウドサービス移行(構築)で必ず押える点をまとめます。

新規でECサイトをクラウドサービスで構築する場合も、今運営中のECサイトをクラウドサービスへ移行(再構築)させようという場合も、同じような課題や期待があります。
クラウドサービスへの移行ニーズの例をあげると、まず現状「自社開発(フルスクラッチ)のシステム」もしくは「EC-CUBEなどのオープンソースで構築したシステム」で構築運用している場合が多く、その運用課題を上げると以下の様です。

独自システムやEC-CUBEの様なオープンソースで構築したシステムでの運用課題

    • 機能追加したいが追加費用が高く思い通りの通販サイト運営が運用できていない
    • システム保守費額や月額費用が高額で売上に見合わない
    • 元々構築した会社(人)がいないため、現在・今後の運用に不安がある
    • <スマホ対応も不十分、もしくはできていない(実施するのに開発費用が高い)

など

これらの課題はクラウドサービスへ移行することでほとんど解消できます。
そもそも月商1億円未満のEC規模でクラウドサービスを利用せずに、自社開発システムやECCUBEの様なオープンソースで構築することは、結果的に上記のような課題に直面し、結局多くのケースではクラウドサービスに移行せざるを得ないようになっています。

現に数年前のECサイト構築ラッシュ時に、スクラッチでECサイト構築したものの、今多くのEC事業者様がクラウドサービスへ(せざるを得なくなって)移行されています。

そこで、ECサイトをクラウドサービスに移行する際に必ず押えなければいけない点とその理由を以下に整理します。これらの点を必ず押えなければ選定後にまた行き詰ってしまい、せっかくの売上拡大のための移行が、事業縮小につながる可能性があります。

ポイント1 機能面の確認とカスタマイズ対応

『絶対必要な機能』と『あればよい機能』をリストアップ

現在システムか自社開発であれば、そもそも独自の機能性を持たせたECサイトを実現したいことが恐らくその導入背景にあったものと考えます。
もちろんこれらの独自性高い機能がクラウドサービスへ移行する際に、ほぼ同じことができればいいのですが、多くの場合は全く同じという訳ないには行きません。

ですから、当然「必要な機能要件」をまとめて、それらを満たす機能があるかのクラウドサービス選定が必要です。

この必要な機能要件の確認の際に、現在の機能を持っているかどうかを比較される方がおられますが、クラウドサービスへ移行する前提として、『全く同じことはできない、それを望む場合はコストも手間も大きくなり、実現性が低くなる』ことを前提に検討する必要があります。

また、機能要件を上げる際には、『今ある機能』ではなく、『絶対必要な機能』と『あればよい機能』の2つのランクで機能要件を上げると非常に検討しやすくなります。

要は、検討の際に“これまでのシステムにある機能を”ではなく、“本当に必要なものだけを”と厳選する必要があります。そこで非常に重要なるのが、『有償でカスタマイズ対応ができるか?』という点です。

カスタマイズ対応できなければ、中期的にやりたいことをも加味しそれらの機能を満たすクラウドサービスを選定する必要がありますが、カスタマイズ対応できるクラウドサービスであれば、現時点では上記の最低限『絶対必要な機能』を満たせば、後は必要な時にどうしても必要なものは『有償カスタマイズで対応すればよい』という判断も可能です。

顧客管理・物流側システムとの連携は可能か

また、自社開発システムの場合は独自オペレーション向けに顧客管理や物流側などで独自システムを構築しているケースもあります。ですからこれらの独自システムとカスタマイズして連携が可能かどうかも重要な確認のポイントとなります。

そこで押えるポイントを整理すると以下です。

・全ての機能要件をクラウドサービスが満たすことは難しいことを念頭に置く

・必要な機能要件は現機能ではなく、『絶対必要な機能』と『あればよい機能』の2つのランクにわける

・カスタマイズ対応が可能かどうかの確認

・方針として重きを置く機能性は何かを決める

ポイント2 スマホ対応、タブレット対応、レスポンシブ対応

スマホ対応は可能?

スマホ対応の強化やタブレット対応についても、現在の自社開発システムからクラウドサービスに移行される大きな理由の一つです。

『現システムでスマホ対応が乏しく、強化しようとシステム会社に見積するととんでもない金額で、到底実施できない、しかしスマホで訪問されている方は確実に増えている』という現場のジレンマです。

担当者としては自社のサイトがイケてないことを知っときながら、今のシステムを使い続けなければいけないという、お客様に自社の都合で不便な思いを強いるという小売業では絶対にやってはいけないことが事実横行しています。

自社資産のECシステムをどう考えるかは、以前の記事『スクラッチ型ECシステム利用の現場が嘆く。レスポンシブ化“できない理由”は社内投資家に』を参考にいただいて、今回はスマホ対応、タブレット対応についてクラウドサービス選定や移行時のポイントを上げます。

先ずスマホ対応が今後必要なのかどうなのか、タブレット対応もしていきたいのかどうかです。今回は『スマホ対応は絶対必要、タブレットもできれば必要』のような場合を考えます。

 

分離構成か レスポンシブか

そこで、スマホ対応の方法には大きく分けて2つあります。『分離構成』か『レスポンシブWEBデザイン』かです。

分離構成とは、PCとは別にスマホページなどを用意する必要がる構成で、昔からある多くのクラウドサービスがこの方法です。

レスポンシブとは1つのページであらゆるデバイスに対応できるものです。

なぜ、この2つの方法を考慮しておく必要があるかですが、分離構成のクラウドサービスはレスポンシブが不可能なので、導入した後にやはりレスポンシブが良かったといっても、またシステムの変更が必要になります。ですから、移行前に必ず考慮する必要があります。

※これらの構成の詳細は、『【連載】モバイル化/マルチデバイス化時代のEC事業:第2回 ECサイトのマルチデバイス対応問題――「ページ分離構成」か「一元ページ構成」か - ITmedia マーケティング
(タブレット対応については、『ECサイトのタブレット対応を最も効率よく、効果的にする方法』)
を参考ください。

レスポンシブを選ぶべき理由

今後スマホ強化をしていく場合は『レスポンシブ』が有効となりますので、レスポンシブWEBデザインが実現できるクラウドサービスを選定する必要があります。レスポンシブが有効な理由は多くありますが、主たる理由をあげると

・Googleが最も推奨する構成としているため、検索エンジンに有利

・分離構成よりも新しい技術で、分離構成の課題を解決するために誕生したものである

・分離構成よりも運用効率が高ため低コストでスマホ・PC・タブレット対応ができる

・分離構成よりもCVRやユーザ満足が高いため、少ないコストで売上向上が図れる

・引継ぎ利用に対してのUXも高い

等があります(詳しくは、『【連載】モバイル化/マルチデバイス化時代のEC事業:第2回 ECサイトのマルチデバイス対応問題――「ページ分離構成」か「一元ページ構成」か - ITmedia マーケティング』などを参照)

ですから、よほどの理由が無い限りレスポンシブが実現できるクラウドサービスを選定すべきです。

しかしながらこれまでは多くのクラウドサービスは『分離構成』が中心でレスポンシブWEBデザインでのECサイト運用ができないために、多くのサービスやその関係者はレスポンシブに対して否定的な意見が多い場合があります。
そこで、押えるポイントとしては以下です。

・レスポンシブWEBデザインでのECサイト構築運営ができるのか?

※部分的ではなく、ショッピングカート等も全てレスポンシブで(UXが変わることで満足度が低下する)
また、レスポンシブ対応ができていても、以下が実現できなければ苦しいので合わせて確認が必要です。

・レスポンシブWEBデザインでの表示速度改善するための施策を施しているか?

・デバイス毎にデザイン性を追求できるのか?
このレスポンシブが対応可能かどうかは、この2015年にはモバイルECがPCを上回るとも言われているために、これまでは良かったのですが、今後は非常に重要な点にもなりますので要注意です。

ポイント3 データ移行

データ移行はどこまで可能?

データ移行の問題は、必ずといってよいほど発生する問題です。大変だと思われがちですが多くのケースが思っている以上に簡単です。先ずそもそもクラウドサービスを選定する際には『データ移行ができるのか?』を確認する必要があります。

また、移行するデータには大きく以下があります。

a.商品データ(商品画像や詳細内容などのデータ)

b.顧客データ(名前、メール、住所、会員IDなど)

c.ページのデータ(画像やテキスト、HTMLなど)

cについては構築する際に実施する作業ですので特に気にする必要はないかと思います。
またaについては、CSVデータとして整備されていれば大きな問題はないのですが、整備されていない場合はCSVなどに整備する手間は発生する可能性があると考えておくべきです。多くのサービスがCSVデータを取込む方法により商品データを移行するからです。

bについては顧客データの中に名前、住所、電話番号、メールアドレス以外にも「ID、パスワード」や「ポイント」、「レビュー」などもあります。これらの情報についても完全に全てクラウドサービスへ移行するのは厳しい可能性があります。

特に過去の購入履歴などはデータ形式が大きく異なるために難しいケースが多いです。
しかし「ID、パスワード」、「ポイント」、「レビュー」などは比較的容易ですので、これらは事前に確認が必要です。
パスワードはハッシュ化されている場合など移行できないケースが多くありますが、実際パスワード移行せずに新規パスワード設定することで大きく売上を落としているケースはあまりないですので大きな心配は不要かもしれません。

決済情報にも注意が必要

またbについて定期購入などでクレジットカードにて毎月自動オーソリを実施されている場合にはその利用しているペイメント会社によってはクレジットカード決済の顧客情報の移行ができないケースがあります。

最近よくトラブルも発生していますので現状のクレジットカード決済を提供している会社に「顧客のクレジットカード情報を他のペイメント会社に移行できるのか?」を確認する必要があります。

例えば大手SBPS(ソフトバンクペイメントサービス)等は可能ですが、小規模のZEUSなどは不可ですので要注意です。

これは、EC規模が拡大し会員が多くなってから「他のペイメント会社に変更したい」と思ってもできないことにもなり、手数料などの条件面もずっと今のペイメント会社の条件下になりますので、特に定期購入を実施しているECサイトでは出来れば早い段階で会員情報が移行できるペイメント会社にクレジットカード決済を移行しておく必要があります。

 

まとめ

まず初めに検討すべき3点

このようにもクラウドサービス移行時には検討すべき要素はいくつかあります。もちろん上記以外にも例えば料金体系についても重要ですし、クラウドサービスのメリットの一つのサポート体制についてもそうです。
電話サポートが充実しているのか、そのスキルやノウハウは、例えばレスポンシブWEBデザインなどの新しい技術についてもその知見は重要です。

しかしながら、上記記載の大きく3点はまず始めに検討すべきポイントですので、クラウドサービスへの移行や、クラウドで新規EC構築の際にはしっかりと検討すべきです。

また、クラウドサービスはECサイト業界では「ASP」や「ショッピングカート」などと言う場合が多いですので、御社が“これは必要”と思う条件のワード、例えば「カスタマイズ対応 ASP」や「レスポンシブ対応 ASP」などのワードでしっかりと検索しクラウドサービスの比較検討されることをお勧めします。

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■aishipスマートフォン&モバイルEC事例・ノウハウ集
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