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コンテンツの将来:2014年の4つのトレンド(後編) ―― マルチチャネル統合と今までなかったメディア

「コンテンツ統合への関心が拡大」と「今までになかった媒体におけるコンテンツの実験」を紹介

「コンテンツマーケターを待ち受けるトレンド」と「コンテンツマーケターが組織で果たす役割」を、役に立つ資料を参照しながら細かく見ていくこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後編となる今回は、前回に引き続き残る2つのトレンドを紹介する。→前編を読んでおく

トレンド3:コンテンツ統合への関心が拡大
(コンテンツは複数のチャネル向けに制作されるようになる)

コンテンツをめぐる大きな課題のなかには、コンテンツと関連がないものが数多くある。当社の顧客にとって最も難しいのは、適切なリソース配分をどう決定するかにかかわる問題であることが多い。次のようなことがあるからだ

  • すべての目標を実行する時間がない
  • 戦略を理想的な形で実行する予算がない
  • 優先項目の見直しをのべつ迫られる

こういった厳しい制約によってマーケティングは難しさを増しているうえに、多数のチャネルが発展してデジタル革命が非常な速度で進む現状ではとりわけ困難になっている。

こうした問題に対する完全な解決策はないものの、次善の策として、統合手法を改善し、リソース上の厳しい制約と、絶えずイノベーションを求めるニーズのバランスを取ることが大切だ。

最高マーケティング責任者(CMO)を対象としたある調査では、代理店に求める最も重要なものとして「統合型マーケティングコミュニケーション」があげられており、これが効果的な広告への要望より上回っている。

なぜ、統合型マーケティングコミュニケーションがそれほど重要なのだろうか?

それは、消費者の購買行動が変化しているからだ。アクセンチュアは、世界8か国6000人の消費者の行動に関する市場調査を実施した。推奨事項の1つとして上位に挙げられたのは、消費者に「シームレスな小売体験」を提供することの重要性だ。

これは、「どのチャネルでも、ブランドに沿った、パーソナライズされて一貫性のある体験を提供すること」を意味する。こうしたシームレスな体験では、潜在顧客や既存顧客との対話を1つの一貫したものにするため、オンラインから対面まで多くのチャネルにコンテンツを深く絡める必要がある。

以下の図表は、1980年から2000年に生まれたミレニアム世代の購買行動に関する統計を表している。ミレニアム世代は(特にソーシャルメディアに関して言えば)並外れてデジタルに強い傾向があるが、調査では小売店や実店舗でも好んで買い物をすることが明らかになった。ミレニアム世代はインターネットで価格、製品、価値、サービスをリサーチして比較検討し、親の購買行動に影響を及ぼしている

神話を検証する
ミレニアム世代は今も実店舗志向が強い。82%が「実店舗で買いたい」と回答。
ドラッグストアで買いたい
家電販売店で買いたい
衣料品店で買いたい
デパートで買いたい
ディスカウントショップ/量販店で買いたい
ミレニアム世代はロイヤリティの極めて高い顧客になる可能性がある。
69%が「気に入ったショップなら、閉まっていても心変わりしない」と回答。
翌朝もう一度来店する
同店のオンラインストアで購入する
同店のモバイルアプリ経由で購入する
ミレニアム世代がブランドやショップのソーシャルメディア上で「いいね!」をクリックしたからといって、ロイヤリティの高い顧客とは限らない。
ソーシャルメディアのリコメンド機能により購入を決定する
出典:アクセンチュアによる分析

コンテンツの統合は、消費者向け小売店だけの話というわけではない。たとえば、ブリティッシュ・エアウェイズがロンドンに設置しているビルボード広告は、同社の飛行機が看板の上空を通過するたびに広告の中の子供が機体を指差すようプログラムされている。以下の動画は、このビルボード広告がどう動くかを示したものだ。

2012年にはAT&Tが、壁に複数のビデオモニターを配した「Apps Wall」や、フィットネス、家族、アートなどのライフスタイル分野を専門に扱うコンテンツを披露するなど、デジタルに力を入れた総床面積1万平方フィート(約929平方メートル)の店舗をオープンさせた。

食に関するブログを運営する新興企業でEコマースへの参入を果たしたばかりのFood52は、2013年12月のホリデーシーズンにニューヨーク市でポップアップストア(期間限定の店舗)をオープンさせた。

BtoBコンテンツマーケターを対象としてコンテント・マーケティング・インスティテュートが2014年に実施した調査では、BtoBコンテンツマーケターは、直接触れあうイベントが今なお最も効果的な戦術だと見ていることが示されている。

オンラインマーケティングチャネル(ソーシャルメディアでのやりとり、PPCおよびディスプレイ広告、ケーススタディーや動画を使ったサイト上のコンテンツなど)から、顔を合わせての会話や消費者体験へと向かうコンテンツのシームレスな変化は、今後ますます重要性が高まるばかりだろう。

トレンド4:今までになかった媒体におけるコンテンツの実験

技術やデジタルのイノベーションは急速に進化しつつある。

PCは今やインターネット接続機器のごく一部を占めるにすぎず、ウェアラブル製品やスマートテレビが主流になろうとしている。注目を得ようとする競争が激化するにつれて、企業は対象ユーザーに到達するために、より一層意欲的に新たな媒体でコンテンツを実験しようとするだろう。

このグラフは、技術がいかに急速に進化しているかを示す一例にすぎない。マーケターとしては、すばやく適応しながら新しいトレンドや機会に合わせて規模を拡大できる能力を身に付けることが不可欠だ。

マーケティング代理店のセイピエントニトロは2013年、218ページの無料ガイド「Insights 2013」を公開し、その中で、店内でのデジタル小売体験、テレビやセンサー、エクスペリエンスデザインの未来、モバイル顧客体験をはじめ、さまざまな新しいトレンドを例示して詳しく紹介している。

このなかのケーススタディの1つとして、LVMH参加の化粧品や香水の専門店セフォラがある。セフォラは自社の小売店舗ですばらしいコンテンツを開発しており、これにはユーザーがさまざまな香りを試したり、スキンケアについて理解を深めたりできるインタラクティブなキオスクなどがある。店内のあちこちに配置されているiPadではメイクの方法に関するヒントを入手したり、商品をスキャンして製品情報を表示したりできる。

セフォラのモバイルアプリには中核顧客層に向けたコンテンツがあり、同社の他のオンラインおよびソーシャルメディアコンテンツとも連携している。コンテンツはすべて簡単に電子メールやソーシャルネットワークで共有可能だ。

ニベアなどのブランドでも、印刷広告とモバイル革命をミックスさせている。この例では、ニベアの印刷広告が携帯電話のソーラー充電器としても使えるようになっている。

また、Poptopia by Pop Secretというモバイルゲームには、専用のPop Dongleという携帯電話用アクセサリーがあり、ゲームをプレイするとポップコーンの香りが出てくるようになっている。Pop DongleをiPhoneのオーディオジャックに挿すと、ゲーム中に一定の頻度でポップコーンの香りを拡散する信号を出してくれる。こうした例はすべて、コンテンツに新しい媒体を活用しているブランドの存在を示すものだ。

◇◇◇

コンテンツの将来にとって、2014年はエキサイティングな年になるだろう。

技術が進化し、ユーザーの注目を集めようとする競争が激しくなる中、マーケターは機動性を高め、顧客のニーズや期待の高まりに適応する必要がある。

企業の将来が、明快で独自性のあるバリュープロポジションの存在にかかってくることは間違いない。なぜそれほど重要になるのか? それは、これがマーケティング戦略やその実行を向上させるための重要な基盤だからだ。

マーケターとしてやるべき職務は、測定すべき指標を特定して今後採るべきあらゆるマーケティング戦略に優先順位をつけるために、その情報を活用することだ。これは非常に困難な仕事だが、私たちの役割は、解決策を求めてこれらの課題に取り組み続けることにある。今こそ、始めるべきときだ。

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