「ウェアラブルデバイス」とは

ウェアラブルデバイスについて、事例と共に背景、市場規模、問題点等の角度から考察します。
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最近よく耳にするようになった言葉――「ウェアラブルデバイス」。文字通りの意味で、「着る」(wear)「出来る」(able)、つまり身につけられる・装着できる端末(デバイス)のことです。「ウェアラブルコンピューター」という呼び方もありますが、近年「スマートデバイス」の普及もあり、「ウェアラブルデバイス」と呼ぶ場面が多くなっています。

ウェアラブルに関する研究・開発は以前から行っており、新しい概念ではありませんが、昨今大手各社による商品化の動きが活発になってきていることで、脚光を浴びるようになりました。特にスマートフォンと連携出来るメガネ型や腕時計型デバイスは今後私たちのライフスタイルを変える可能性もあると言われています。2013年は「ウェアラブルデバイス元年」とも呼ばれているようですが、果たしてこれは次なるIT時代の幕開きを意味しているのでしょうか。

「モバイル」の次として注目の高まる「ウェアラブル」

スマートフォンを代表としたスマートデバイスの急速な普及につれ、業界内の競争も加熱しています。技術や仕様以外に、サービスや周辺機器との連携などの付加価値が消費者の購買行動を左右する要因となりつつあります。また、成熟した市場で更なる価値を創出する切口として、多くの企業や開発者はウェアラブルデバイスに注目しています。

ウェアラブルデバイスが近年になって実用化されるようになった背景としては、主に二つの「進化」に関係しています。一つは「技術の進化」です。ハードウェアの小型化・軽量化が実現でき、コンパクトになったハードウェアに適応できる音声・画像認識といった入力方法も可能になっています。もう一つは、「利用環境の進化」です。スマートフォンの普及や接続エリアの拡大、接続方法が有線からワイヤレスへの変化など、ウェアラブルデバイスが活躍する舞台が整ってきました。

矢野経済研究所が行った調査(※)によると、スマートグラス市場において、2014年末以降事業者の本格的な市場参入が始まり、2016年の出荷台数は1,000万台に、またスマートウォッチ市場では、2014年以降他業種からの参入が見込まれ、2016年の出荷台数は1億台という見通しが発表されています。
米調査会社IDCは8月に、2013年以降の世界におけるタブレットの出荷台数予測を下方修正することを発表しました。理由としては大画面のスマートフォンの増加やウェアラブルデバイス登場への配慮だということです。他にもウェアラブルデバイスの成長勢いを前向きに予測するデータが多数あり、昨今の主流「モバイル」(移動・携帯できる)の次に来るのは「ウェアラブル」(着用できる・身につけられる)ではないかと言われています。

業界の動き及び代表事例

ウェアラブルデバイス市場に参入する企業の動きは近頃活発になりつつあります。米Googleはスマートウォッチの開発会社であるWIMM研究所を昨年買収しており、Googleのスマートウォッチ市場へ本格参入の一手だとみられています。また、インテルも今年9月に超小型チップ「Quark」を発表し、ウェアラブルデバイス市場を狙う姿勢を見せています。

これから代表的なウェアラブルデバイスをいくつかご紹介します。

【メガネ型デバイス】

<Google Glass>

ウェアラブルデバイスの認知度を一気に広げたのは、米Google社が開発中のメガネ型情報端末「Google Glass」です。「Google Glass」をかけると視界の右上に背景が透けた画面が表示され情報を映し出し、操作は音声で「ok glass」というフレーズで起動するようになっています。「Google Glass」に写真・動画撮影、ビデオチャット、ナビゲーション、メール送信、検索、通訳、必要情報の表示等の機能が搭載されており、デバイス自体に通信機能はありませんが、iPhone等のスマートデバイスとBluetoothで接続すれば通信を行うことが可能だということです。

今年初めに開発者以外の人も「Google Glass」のプロトタイプを購入できるコンテストを実施し、大きな話題となりました。「Google Glass」を手に入れた「選ばれた」人から「世界が変わった」と絶賛する声も上がりました。しかし一方、グラスアプリケーションの開発環境が整えておらず、また利用時の安全性を保つための規制や法的整備も必要という懸念の声もあり、普及に時間がかかりそうです。

<Telepathy>

あの「セカイカメラ」でAR(拡張現実)ブームを引き起こした井口尊仁氏は、今年3月に米国で開催されたIT界のパリコレとも言われるSXSWで、メガネ型ウェアラブルデバイス「テレパシー」を発表しました。目の部分にディスプレイとカメラを設置し、目の前に5インチ相当の表示画面が映し出されるように見えます。完成時に外部を映すカメラも搭載する予定であり、Bluetoothで外部と通信し、メールやSNSの情報を確認したり、逆に見えている情報を外部に送信したりすることができます。今回の製品について井口氏は、「幸せを目に見えるようにする」と語っています。

機能的には「Google Glass」と類似していますが、井口氏による「テレパシー」の優れている点としては、「手頃な価格でよりファッショナブルである」とのことです。

<インテリジェンスグラス>

NTTドコモは、10月1日から幕張メッセで開催されていた「CEATEC JAPAN 2013」に自社開発のメガネ型ウェアラブルデバイス「インテリジェンスグラス」を披露し、体験コーナーに連日長蛇の列が出来るほどの大盛況でした。
会場では、スマートフォンの動画コンテンツをハンズフリーで鑑賞できる「手ぶらでムービー」、顔認識で相手の情報を表示したり、文字認識で外国語を見るだけで翻訳したりする「見るだけインフォ」、身近な物をデバイスとして利用し入力等の操作ができる「なんでもインターフェイス」、架空の物体を現実の物体のように操れる「空間インターフェイス」という四つの機能が紹介されました。

ただ、まだ開発中で当面販売予定はないとのことです。

【腕時計型デバイス】

<SmartWatch MN2>

ソニーは2012年4月にスマートフォンXperiaを遠隔操作できる「SmartWatch MN2」を発売しました。このデバイスでは、Bluetoothでデータのやり取りを行い、スマートフォン本体と同期させておくことで、腕時計型のデバイスから着信やメールの確認、SNSなどのチェックや投稿、ツイートが出来るようになります。さらにミュージックプレイヤーと連携することで、音楽の再生や音量調節なども手元で可能になります。様々な色のバンドにクリップのようにとめ、タッチディスプレイで操作できます。

<GALAXY Gear>

9月ドイツ・ベルリン開催された世界最大の家電見本市「IFA 2013」に、サムスンが腕時計型のウェアラブルデバイス「Samsung GALAXY Gear」を発表しました。「Samsung GALAXY Gear」は、サムスンが展開している「Galaxy」シリーズのスマートフォンやタブレットと連携し利用するアクセサリー的なデバイスです。腕時計として時間を見ることはもちろん、Galaxyシリーズと接続することで着信、メッセージ、SNSなどの通知を確認したり、ハンズフリーで通話をしたりすることも可能です。内蔵されているスピーカーを通じて音声で操作を行えます。

まとめ

この先、あらゆるモノがネットに繋がり、デバイス間の連携が更に拡大すると言われています。特にウェアラブルデバイスへの関心が高く、スマートデバイスとの連携で更に便利な日常生活を提供する他、収集・蓄積していくバイタルデータの活用に伴うセルフケア/ヘルスケアサービス事業などへの期待も高まっています。

このようなデバイスの進化に伴い、企業とユーザーとのコミュニケーション方法もどんどん変化していくと考えられます。ユーザーエクスペリエンスの実現において、企業はこのような変化を敏感に捉えて対応していくことが重要となるのです。

しかし、ウェアラブルデバイスが利便性をたらすと同時に、盗撮、プライバシー侵害、交通安全への懸念、電磁波などによる人体への影響等、無視できない問題点もたくさんあります。技術が日進月歩のこの時代に、私たちの常識をこれからどう塗り替えられていくのか、ウェアラブルデバイスに注目したいところです。

 

参照元
※ 『スマートグラスとスマートウォッチに関する調査結果 2013』・矢野経済研究所

 

■本コラムの元記事はこちら
「ウェアラブルデバイス」とは

 

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