企業ホームページ運営の心得

人生がときめくホームページリニューアルの心得

会社業務に必要のないコンテンツを捨て、ホームページをリニューアル
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の289

心がときめく魔法が効かない

リニューアル前のアズモード
http://www.as-mode.com/

先日、続編が発刊された『人生がときめく片づけの魔法』を紹介するアマゾンのページには「一度片づけたら、二度と散らからない方法」とありますが、私のデスクには書類が散乱し、雑誌や書籍が山積みされています。どうやらこの魔法は小人には効かないようです。きっと私が寝ているあいだに、小人がイタズラをしているのでしょう。そうでなければ、本に嘘が書いてあることになるからです。

冗談はさておき、気がつくと自社のホームページもコンテンツが散乱していました。ある読者からはコメント欄に「旧態依然」と指摘されるほど散らかり放題です。

実は1年以上前からリニューアルを計画していたのですが、日々の生活の忙しさから、日本人らしく「先送り」していたのです。しかし、あるニュースが心に火をつけます。全国に先駆けて自治体による費用負担まで盛り込んだ、我が町足立区の通称「ゴミ屋敷条例」です。

ゴミコンテンツの山に

ゴミ屋敷条例は、自力で片づけができない世帯を費用面でも援助する画期的条例です。反面、強制力をもつ「ゴミ屋敷条例」は自治体にとってはリスキーな法律で、足立区はルビコンを渡りました。なぜなら、ゴミ屋敷の家主にとっては「必要なもの」であり、強制的な処分は「財産権」を抵触するかもしれないからです。報道を見て我が身を振り返ります。

自分にとって大切なコンテンツでも、他人から見ればゴミではないか

物書きとして、自分の文章をゴミなどと思ったことはありません。しかし、自社のトップページに明らかなゴミを見つけます。それは「ツイート」です。

マイナス効果のTwitter

そこには決して上品と称することのできない言葉がリアルタイムで表示されます。それは「宮脇睦(筆者:みやわきあつし)」としては自己責任のうえで、批判があればそれに返し、過ちがあれば真摯に受け止め反省をします。しかし、代表者の自由な発言と会社の間に線引きするのは、当たり前のリスクマネジメントです。

ブログやツイート、Facebookでの発言や活動を、所属する組織と切り離すことは日本人社会では事実上困難です。ゆえに、ソーシャルメディアの利用において業務に関する発言は避けるのが正解です。まして「社長」となれば、会社と一体化して見られるのは当然と言ってもいいでしょう。さらに当社のボリュームゾーンは近所のお客。それが当社のサイトにアクセスして初めてみたツイートが、

最近のAV女優のスペックの高さに驚く

では、人間性が疑われるリスクが増大します。すでに取引があるお客の場合、これぐらいの発言ではビクともしませんが、そのお客から紹介を受けた人はその限りではありません。経営の視点で見たときに、私のツイートはゴミと認定し、リニューアルの開始です。

孫正義の教え

「社長ツイッター」を否定しているのではありません。

Twitterを活用している社長や日本企業のトップとして、もっとも有名な方は、ソフトバンクの孫正義さんでしょう。気ままに発言し、それが人気を集める理由ですが、上場企業の「ソフトバンク」や、回線会社の「ソフトバンクモバイル」で、孫さんのツイートはありません。孫さんがユーザーからの提案に、「やりましょう」と答えたツイートだけをまとめた「案件進捗状況」があるだけです。

リアルタイム更新による失言や不適切発言を回避し、企業体としてメリットのあるツイートだけを選別し発信しているのはTwitterの「活用例」です。

私の「AV女優」とは次元が異なります。

コンマリの教え

サンマの塩焼きのはらわたに覚える苦みが、私の文章においての持ち味と自負していますが、それは当社「アズモード」とイコールではありません。そして片づけ(リニューアル)を開始します。

片づけにおいて、もっとも肝心なことは「捨てる」ことだと、冒頭で紹介した『人生がときめく片づけの魔法』の著者である近藤麻理恵さん、通称「コンマリ」さんも語っています。もっとも、知人がコンマリさんが大ブレイクする前に行ったセミナーで「どうしても捨てられないモノがある」と質問すると彼女はこう答えたと言います。

ならば取っておいてください

捨てられないモノが多いから、ものが溜まり、他人からみてゴミ屋敷になるのに……という正論は棚に上げて、しれっと語ったコンマリ先生のアドバイスを採用することにします。「捨てないけど、捨てる」です。

興味のある方だけどうぞ

リニューアル後のアズモード

トップページは会社業務に必要なものだけでまとめます。業務として紹介したいものを中心にするということです。もちろん、「AV女優」がたびたび登場するTwitterのリアルタイム公開はトップページから捨てます。

また、各種「営業戦略」を解説したコンテンツや、この連載のひな形となったメルマガなどを、トップページで紹介していたコーナーは破棄します。メルマガのバックナンバーは述べ270回を越え、それぞれに3本以上のコラムを掲載しているので、述べ800本以上あり現在も更新中です。だから物理的には捨てません。

物書きとしての「宮脇睦」に興味をもって当社サイトに訪問したのなら、どうにか探してたどり着こうとしてくるだろうと見立てて、その入口だけは残し、そちらに掲載することで生かします。玄関に小さな「通用口」という案内をはり、裏口に誘導するということです。裏口が比喩表現であることはWeb担当者に説明は不要でしょう。

アクセスログを見れば、それぞれのコンテンツに直接ランディングしているので、トップページからの誘導はそれほど重要ではなかったのです。また、バックナンバーなどのコンテンツから、毎月小遣い銭ぐらいのアフィリエイト収入が入ってきているので、経営的に見ても「完全廃棄」はありえない話しです。

当社業務に関するコンテンツについても「断舎離」を決行。これについては次回紹介します。ちなみに、スッキリとしたサイトに心がときめいたかといえば、旧態依然といわれたゴミゴミとした雑多さが好きなのだったと気がつき、犯人は小人ではなかったのだと彼らへの冤罪に謝罪します。

今回のポイント

個人と企業のブランディングは微妙に異なる

トップページになくていいものは捨てる

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