初代編集長ブログ―安田英久

良いセミナー・プレゼン資料を作るための10の手順

私がこれまでに行った数十回のセミナー講演経験から、ポイントをまとめて10個
Web担のなかの人

今日は、セミナーやプレゼンの資料を良いものにするためのノウハウを。私がこれまでに行った数十回のセミナー講演経験から、ポイントをまとめて10個、整理してお届けします。

このまとめのポイントは、1番目の「対象者像と目的の定義」と、6番目の「スライド間の接続詞を考える」です。

  1. そのセッションが、「だれが」「何を得る」場なのかを定義します。

    最も大切な部分です。対象者像とセッションの目的が揺れると全体に影響してしまいますからね。セミナーなら主催者に全体の意図や想定参加者像を聞きましょう。

    ここで大切なのは、「あなたが何を説明するか」ではありません。「こんな人が、このセッションを聞くとこうなる(セッションを聞く前とあとでこう変わる)」ための場だという定義を考えるのです。

    特に「だれが対象か」に関しては、「Web担当者」「広告関係の仕事をしている人」といったざっくりとしたものではダメです。

    数百ページ以上の自社サイトの企画や運営を担当しているWeb担当者、業務の経験は2年以上あり、基本的なWeb担当者の業務は理解していて、上司や経営層とミーティングして考える役割、自社のビジネスに関しても理解しており、他部署の人間とのやりとりを日常的にしている

    のように、具体的にイメージできる対象者像を作りましょう。

    作ったら、その内容を次のようにします。

    • → 「このセッションのゴール」のスライドに書く
    • → セッション概要文として主催者に渡す

    対象者像に関しては、「対象ではない人」を定義することで、より対象のセグメントを明確にできる場合もあります。

    業務経験が3年未満の人には難しすぎるかもしれません
    基本的なことを解説しますので、経験者にはおもしろくない可能性があります

    などを明確に記載しておくと、来場者と内容のミスマッチを避けられるかもしれません。

  2. セッションのタイトルを決めます。

    Webコンテンツでタイトルが重要なのと同じで、セッションのタイトルは重要です。

    どんなタイトルにするかによって、どんな聴講者が来るのか、どんな事前期待をもって来るのかが決まります。魅力的で、でも内容が実際のものと乖離しない良いタイトルを考えましょう。

    • → 表紙のスライドにタイトルを書く
    • → セッションのタイトルとして主催者に渡す
  3. 伝えようとすること全体を大きなブロックで分けます。

    イメージは書籍の章目次ですね。だらだらと続けるのではなく、意味のブロックで全体をいくつかに分けましょう。60分なら3~4セクション、45分なら2~3セクションぐらいが良いでしょう。

    セクションを分けたら、各章がどんな役割を果たすのか、どんなことを伝えるのかを明確にします。いわゆるサマリ(概要)ですね。

    • → 「このセッションの全体像」のスライドを作って目次を書く
    • → 各章のタイトルを章タイトルスライドに書く
    • → 各章のタイトルスライドに「このセクションで伝えたいこと」を書く

    ※数分間のライトニングトークなどではこのステップは不要です。

  4. 伝えたいことをスライドとしてどんどん入れていきます。

    まずは細かい構成は気にせず要素をどんどんメモのように入れていきましょう。

  5. 各章内の構成を調整します。

    ネタを出し切ったら、各章のなかで構成を入れ替えたり削除したりしましょう。

    章の内容に合うか、説明の順番が適切かによって調整しましょう。場合によっては章のタイトルや概要を変える必要があるかもしれません。

  6. スライドとスライドの間の接続詞を考えます。

    これが、内容面で私は一番重視している点です。あるスライドから次のスライドに移る際に、どんな言葉でつなぐのかを考えます。たとえば次のような感じです。

    • この具体例が……
    • わかりやすく説明すると……
    • もう少し詳しいデータで見てみると……
    • さらに突っ込んで解説すると……
    • 別の例を出すと……
    • とは言うものの実際には……
    • 一方……
    • ということで……
    • こういうと反対する人もいるでしょうけれども……
    • 少し話題は変わりますが……
    • これを元にさらに考えると……

    つなぎ方を明確にするということは、ストーリーができるということです。

    これをちゃんと考えていないと、聞いている人は、それぞれのスライドや説明から何を得られるのかを、その説明を聞き終わるまで理解できず、理解の流れが滞ります。

    良いつなぎ言葉を入れられないということは、そのスライドの並びになっている明確な意味がないということですから、構成を考え直すほうがいいでしょう。

  7. まとめを入れていきます。

    まず各章の最後にスライドを1枚入れ、「このセクションのまとめ」を入れます。

    次に全体の最後にスライドを1枚入れ、「このセッションのまとめ」を入れます。

    説明したつもりでいても、聞いている人の脳味噌ではまだ情報がちゃんと整理されていないことが多いものです。内容のまとまりごとと、全体とで、最も理解しておいてほしいメッセージを明確に打ち出しましょう。

  8. 内容が、当初想定していた内容からズレていないかをチェックします。

    具体的には、各スライドで説明している内容や並びが、「このセッションのゴール」「このセクションで伝えたいこと」「このセクションのまとめ」「このセッションのまとめ」それぞれと整合性があるか、また、強調しているポイントが適切かをチェックしていきます。

  9. 自己紹介を最初のほうに入れます。

    どんな背景をもって語っているのかを知っておいてもらうことで、内容をより適切に理解してもらえるようになります。そのため自己紹介は重要なのですが、あまり長くしすぎると聞いていて鬱陶しくなるので、難しいところです。

    また、いきなり自己紹介をするよりも、ツカミのスライドを1~2枚見せて話してから自己紹介に入るほうが効果的な場合もあるでしょう。

    そのあたりは、どんな来場者がどんな事前期待をもって聞きに来るかを、セッションのタイトルや概要文から想像して判断するようにしましょう。

  10. リハーサルします。

    必ず全体を通してリハーサルしておきましょう。その際のチェック点は次のとおりです。

    • 決められた時間内で終わるか
    • 伝えたいことをそのスライドで話せるか
    • 想定したスライド間のつながりをしゃべりで示せるか

    時間に関しては、慣れた人でも本番ではズレる場合があります。時間が余ったときのための予備ネタを作っておいたり、時間が足りなくなったときにスキップする部分をあらかじめ考えておいたりしましょう。

これで、「よくできたセミナー・プレゼン」の準備ができ、おそらく満足してもらえる内容になるでしょう。

ただし、受けるかどうかは別です。ウケをとるネタを仕込んだり、しゃべりの緩急を考えたり、魅力的な展開を作ったりは、上記の内容に加えて考えてみてください。

また、セミナーでは「持って帰ってもらうポイントや要素」を明確に作って用意しておくと、わかりやすくていいですね。

あなたのセミナー・プレゼンの秘訣があれば、ぜひ教えてください。私ももっと知りたいです。

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