なるほど!アクセス解析ケーススタディ

月額固定で安価かつ初心者にもわかりやすいレポートが決め手/SIOS+WebConductor

SIOS(Shiseidou Internet Order System)/株式会社志正堂
Powered by WebConductor/株式会社エーアイピーブリッジ

オフィス用品の法人向け物販サイトを運営してきた志正堂は、同業他社がウェブビジネスを展開するようになった時期からアクセス解析ツールの重要性を認識していた。しかし、コストなどの問題が導入の障壁となり、数年間は導入できずにいたという。昨年秋から「WebConductor」を導入した同社は、コストの問題をどのように解決し、その結果どのような効果を得られたのだろうか。

志正堂のサイト「SIOS」の概要や今回導入したアクセス解析ツール「WebConductor(ウェブコンダクター)」の概要はこちらを参照

野本 幹彦(フリーライター)

導入のしやすさとわかりやすいレポートが決め手
エントリ製品として手軽かつ十分な活用ができる

競合他社との競争に向けアクセス解析の導入を検討

株式会社志正堂 システム統括室
水澤 洋氏

志正堂は、事務用品や消耗品を中心としたオフィス製品の法人向け販売を主体に行っている会社だ。営業活動を中心に、ウェブでの受発注システムを使った商品の提供も行っている。

「法人のお客様に対して、単にオフィス製品を提供するだけでなく、省エネやコスト削減などのソリューションを提案しているのが我々の特徴です。物販だけであればウェブからでも注文できますが、200名の営業担当がおりますので、約5万社のお客様にはそれぞれの営業担当が訪問して、その会社に合ったソリューションを提案させていただいております」(水澤氏)

志正堂のウェブサイト立ち上げは早く、1998年からサイトを構築し、「SIOS」(Siseidou Internet Order System)というインターネット受注システムを使った物販サイトも展開している。開設当時はあまり意識していなかったが、徐々にアクセス解析が必要だと感じるようになってきたと水澤氏は言う。

「アクセス解析を意識しだしたのは、3~4年前くらいからでした。ちょうど競合他社も増えてきた時期です。その中で、どのような経由で我々のサイトに来て、どのページが一番見られていて、何が最も売れているか、そういったデータがなければ、マーケティング資料を作ることもできません。しかし、解析ツールを導入してみようと考えて調べてみても高価なものが多く、当時はまだ導入を見合わせていました」

アクセス解析ツールを導入できないからといって、何もしないわけにもいかない。水澤氏のシステム統括室では、「満足な解析ツールがない時代は、ウェブサイトとは別の商品コードを掲載したチラシを営業に配らせて、チラシからどの程度のリターンがあるのかといった計測を手作業でやっていました」というように、独自にウェブサイトの効果を計測していこうとしていたようだ。

上司説得の決め手は価格、月額固定の低価格で導入できる

図1 志正堂のホームページ。同社が販売するオフィス用品の製品情報やお買い得情報を掲載している。オンライン販売を行うほか、名刺やカレンダーなどの印刷物、印鑑の製造なども行っている。
http://www.shiseidou.co.jp/

しかし、営業を含めた売り上げは徐々に頭打ちとなっており、売り上げを上げるためにもデータの重要性は高まっていく。

「競合他社がウェブサイト展開し、テレビCMなども流している中で、これまで右肩上がりだったSIOSの売り上げも横ばいの状態になってきていました。これを解決するためにはアクセス解析ツールが必要ということで、上司には、“ただ単に商品を載せれば売れるという時代ではない”、“お客様が何を求めてどこから来ているのかがわからない”といったことを訴えてきました。これまでは自分の勘で運営してきたけれども、これからはきちんと数値を出して分析しなければならないということを納得してもらいました」

しかし、これらの稟議を上司に出すことができたのも、現在使っている「WebConductor」が出てきたからだと言う。

「これまでは、解析ツールの価格が高いため、必要だとは感じていても導入コストを申請できる状態ではありませんでした。昨年になってWebConductorが登場し、導入コストも安価だし、ダメだったらやめればいいと考えて導入することに決めたのです。操作も簡単でわかりやすく、自分達のレベルに合った製品であったことも導入の決め手になりました」

WebConductorは、パケットキャプチャ方式でアクセス状況をモニタし、解析結果をメールで自動配信する仕組みのアクセス解析ツールだ。初期導入時は2か月間の無償試用期間もあるので、試験的に導入することもできる。しかし、パケットキャプチャ型の場合は、別途自前でサーバー用のハードウェアを用意する必要があるが、ハードウェアの導入コストや運用コストは問題とならなかったのだろうか。

「ちょうどウェブサーバーやDBサーバーを入れ替えるタイミングでもあったので、アクセス解析用に専用のサーバーを用意することは大きな問題とはなりませんでした。月額費用の安さを考えれば、ハードウェアのコストを含めても他のアクセス解析ツールよりも安価だと考えました。導入コストで数百万円かかるツールを入れて失敗するよりも、月額9万8,000円のWebConductorをまず導入してみようと考えました。月額固定で、1年間使っても100万円程度なので、途中でやめても大きな損害にはなりません」

親切なサポートと、わかりやすい自動レポート

WebConductorのアクセス解析結果
図2 WebConductorのアクセス解析結果は、エクセル形式のレポートで自動配信される。広告効果測定では、各キーワードの出現数と到達率からROI(費用対効果)の分析ができる。

数年前から注目してきたアクセス解析ツールだが、水澤氏にとっては初めて利用するツールでもあるため、最初はわからないことも多かったようだ。しかし、営業担当者が親切に対応してくれたため、問題なく利用できていると水澤氏は言う。

「導入時には営業担当の方が来られて、半日がかりでさまざまなことを教えてくれました。また、最初の頃はわからないところがいくつかあったのでメールでよく質問していたのですが、すぐに返事が来て解決できました。一度だけデータが取得できないトラブルが発生しましたが、対応が早く、大きな問題とはならなかったので安心しています」

また、簡便でわかりやすいレポートが毎日メールで届くのも、非常に使いやすいようだ。

「最初のトップページで、我々が最も知りたい“何時にどのページにアクセスが集中しているのか”がわかるのは便利です。そこから始まって、ページをめくると、リンク元や経路分析のレポートが続いてくるという構成がわかりやすいと感じました」

アクセス解析ツールを導入することによって、ウェブに関わる社員の意識も改革されたという。

「アクセス解析ツールを導入する前は、ただ漠然とサイトを作っていたという感じがします。導入後は、解析結果からこのページお客様に見られていないということがハッキリとわかるようになったので、社内制作スタッフの意識も変わってきましたね。たとえば、どこに何があるかがわかりづらく見づらいページだと思っていても、これまでは誰もそれを口に出して言うことはありませんでした。しかし、数値として表れれば、その数値を上げようと皆で考えることができます。その第一歩が踏み出せたことは、非常に大きいと思います」

将来的なウェブビジネスにも分析結果を活かしていきたい

資料請求やカタログなど、注目ページへの到達度を分析したレポート
図3 資料請求やカタログなど、注目ページへの到達度を分析したレポート。誘導したいページに到達するまでの離脱率や各ページの滞在時間を把握できる。

WebConductorを導入して数か月しか経っていない志正堂だが、今後の展開も踏まえたデザイン面や企画面での努力を行えるようになってきたという実感も生まれてきている。

「我々は法人向けのサービスを中心に行ってきていますが、今後は一般消費者(コンシューマ)向けの物販サイトも展開していきたいと考えています。そのためのデータとして解析結果を役立てたいですね。BtoBでは購入する製品を決めて訪問される方がほとんどなので、直帰率が3%程度の低さとなりますが、BtoCではもっと直帰率が増えていくことが予想されます。そのため、訪問者を帰さないようにするデザインや仕組みを考えていかなければなりません」

※直帰率:最初に訪れたページからサイト内の他のページを1ページも見ずにサイトから離脱してしまう訪問者の率。

「たとえば、BtoBであっても、新規キャンペーンなどの企画のページから来られたお客様は直帰率が高くなってしまいます。これらのお客様を逃がさないキャンペーンをどのように作るかや、デザインで他のページにどのように誘導していくかということを解析データを使って検証していけるので、将来展開するBtoCの物販サイトにも役立てていこうと考えています。また、現在さまざまなキャンペーンも行っているので、これらの経路分析などを行って今後のキャンペーン企画に役立てたいですね」

角度を変えた分析も将来的に行っていきたい

ECサイトを運営している場合、リアルタイムの解析が重要と考えるユーザーも多い。しかし、WebConductorでは日に一度のレポートがメールで来る形となっているため、前日までの解析結果しかわからないようになっている。この点で不便さは感じていないのだろうか。

「将来的にどうなるかはわかりませんが、今現在はリアルタイムでアクセス状況を見たいとは考えていません。タイムセールなどをやれば必要となってくるのかもしれませんが、1日ごとにデータを収集していけば分析はできるので問題はありません。現在はBtoBであるため、上司への報告なども週次のデータがあれば十分だと考えています」

一方、これまでアクセス解析ツールを使ってきたことで、もっと多くの機能があればと水澤氏は考えるようにもなったという。

「メールで来るレポート以外にも、数値データを直接取得できるオプションがあるので、今後はこれらのデータを使ってレポートとは違う角度から分析してみたいですね。商品ごとや取引先ごとの分析や期間別の比較なども、これからは必要になってくるでしょう。WebConductorは昨年できたばかりのツールで、我々のような初心者が使うにはピッタリのツールですが、使っていくともっと他のレポートや分析方法がほしくなってきます。そのあたりは、WebConductorの営業担当者に要望を出しており、機能追加していくという話も聞いているので、今後も期待したいですね」

コストやわかりやすさという長所をもつWebConductorは、アクセス解析を初めて行うユーザーに適している製品だと言える。これを1つのステップとし、分析による効果が生まれれば予算も取りやすくなり、上位製品に移行したり、分析のための人材を増やしたりできるようになるはずだ。また、WebConductorも今後は機能追加やオプション提供が行われていくことが予想される。

最後に水澤氏に、今後アクセス解析をどう活かしていきたいかと、今後の事業展開について伺った。

「しっかりと見ていきたいのは、我々にとっての売れ筋商品は何なのかという点です。一般的な事務用品であれば、競合他社のサイトでも購入できます。それ以外の製品ではどれが売れるのか、その製品をどの位置に置けば多くのお客様に見ていただけるのか、といったことを見極めていかなければなりません。それがわかれば、売れ筋製品の仕入れを多くし、もっと目立たせて売り上げを伸ばすことができます。

我々は事務用品を扱っているため、取引させていただいているお客様には多種多様な業種の方がおられます。これらのお客様に事務用品を提供していくだけでなく、マーケットプレイスやSNSのようにお客様同士がリンクして、お互いの得意分野を出し合ってビジネスが行えるような場所も提供していきたいと考えています。現在、お客様に提案させていただいている事務用品まわりのソリューションを拡げて、お客様同士を結び付けられるようなソリューションを将来的に実現できたらいいですね」

SIOS(Shiseidou Internet Order System) サイト概要

SIOS(Shiseidou Internet Order System)は志正堂が運営するオンライン販売サイト。同社が扱うオフィス用品の購入が可能で、インターネット発注限定のアウトレット商品なども取り扱っている。頻繁に購入する商品や購入履歴を参照して商品を選ぶこともできる。

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株式会社志正堂の選んだアクセス解析

わかりやすい解析レポートを自動生成して
メールで配信してくれる

WebConductor(株式会社エーアイピーブリッジ)
http://www.tech.softbank.co.jp/solution/expert/ebiz/marketing/webconductor/

WebConductorは、2007年2月から発売開始したパケットキャプチャ型のアクセス解析ツールだ。パケットキャプチャ型のアクセス解析ツールは、高機能な反面、ハードウェアなどの初期導入コストがかかるというイメージがあるが、月額98,000円(初期費用無料)と低価格で利用できる。価格とともに、使いやすさをコンセプトに開発されており、既存のシステムにセットアップするだけで、アクセス解析に必要なデータの収集、解析、加工、配信という一連の作業を自動で行い、自動的にエクセル形式のレポートを生成してメールで配信してくれる。

メーカーの推奨は専用サーバー利用だが、共用サーバーでも動作可能だ。専用サーバーを用意する場合でもサイトの規模やアクセス数に合わせたサーバーを用意すればよく、安価なサーバーを使ったりサーバーを再利用したりすることでハードウェアコストを下げることができる。アクセス数などによって月額料金が変わることもないので、将来を見越したハードウェアを導入すれば、長期にわたって同額料金で利用できるのもコストを読みやすい。パケットキャプチャ型であるため、JavaScriptなどを使うASP形とは異なり、携帯電話からのアクセスも漏らすことなく記録でき、マーケティングに活かすことができる。

メールで提供されるレポートは、あらかじめ設定した定型のものとなるが、サイト内遷移や携帯電話の機種別アクセスなどの情報もグラフ化されて提供されるので便利だ。検索キーワード別のROI(費用対効果)なども用意され、今後の戦略に役立てることができる。アクセス解析ツールを導入しても何を見ていいのか、どう判断していいのかがわからない場合もあるが、このようなエントリユーザーが使っても、十分に機能やデータを活用できるように考えられてレポートが作成されている。

また、比較的新しいツールのめ、営業担当者がユーザーの声を聞きながら今後も新たな機能追加やレポートの作り方の改善を行っていくことが考えられているようだ。エントリータイプのアクセス解析ツールであるが、ユーザーとともにステップアップできるような機能強化が行われていくのであれば、これから導入する人には大きなメリットとなるだろう。

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※社名、所属部署、利用サービス、価格など、この記事内に記載の内容は、取材当時または記事初出当時のものです。

用語集
ASP / EC / JavaScript / ROI / SNS / WebConductor / アクセス解析 / キャンペーン / パケットキャプチャ型 / リンク / 事例 / 動線 / 直帰率 / 訪問 / 訪問者
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