アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法

アトリビューションの本質 | 書籍『アトリビューション』特別公開1-5 (全5回)

ここで、アトリビューションの本質についてもう一度振り返っておく
アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
この記事は、書籍 『アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法』 の第1章「アトリビューションとは」を、Web担の読者向けに特別に公開しているものです(本書について)。

アトリビューションの起源や内容について、ひと通り解説してきた。ここで、アトリビューションの本質についてもう一度振り返っておく。

マーケティング施策を再構築する取り組み

これまで述べてきた通り、アトリビューション分析とは、「コンバージョンに至るまでの流入元の履歴のデータを使い、コンバージョンへの貢献度を分析すること」である。アトリビューションという概念が生まれた背景となる業界動向についても説明してきた。

さらに俯瞰した目でアトリビューションの本質的な意味を考えると、広告の目的である「消費者の態度変容」を促すために、ますます多様化・複雑化する消費者の購買活動を見える化・視覚化し、施策の全体を見た上で、企業経営の一環であるマーケティングを再構築するための取り組みであるといえる。

アフィリエイト広告

Webサイトに設置した広告を通じて商品の購入などが行われると、Webサイトの管理者に報酬が支払われる成果報酬型の広告のこと。

消費者の購買サイクルについては重要な考え方として確立していながらも、リスティング広告、ディスプレイ広告、アフィリエイト広告というように、実際の広告キャンペーンは縦割りの「点」の集合体だった。態度変容の促進を最も効率よく行うために、これまでの「点」を「線」でつなぎ、態度変容が起きていく過程を見える化することで、どのような広告やメディアをどのような組み合わせ、どのくらいの力のかけ具合で使っていけばいいかを考えるためにアトリビューションが存在する。つまり、アトリビューション・マネジメントは、単に貢献度に応じて予算配分の変更やポートフォリオの組み替えを行うことではなく、そうすることでユーザーの態度変容をマネジメントすることであるといえる。

さらにもう一歩踏み込むなら、個別の施策を緻密に連携させ、相乗効果を発揮するためのコミュニケーション戦略やメディアプランを立て、それをどのように運用していくかという組織作りを含めた新しい体制の構築も必要なフェーズに差しかかっている。アトリビューション・マネジメントを実践していく中で、試行錯誤しつつ、その形も見極めていく必要がある。

米国ではすでに始まっている

海外に目を向けると、米国においてはアトリビューションに取り組むための環境は急速に整いつつあり、それを積極的に活用する広告主も増えている。米国では、アトリビューション分析の測定環境を準備する場合、いくつかのツールから選ぶことができる。参考までに、それらを簡単に紹介しておく。

  • サイトカタリストGoogle アナリティクスなどの主要なアクセス解析ツール

    Webサイトへの流入後の経路分析などに強く、流入元の履歴となるコンバージョンパスデータも測定できるようになった。クリックベースであれば幅広い施策の効果測定が可能であるが、ディスプレイ広告のビュースルーデータは、第三者配信サーバーと連携しないと測定できない。

  • MediaMindDoubleClick for Advertisers(DFA)などの第三者配信サーバー

    MediaMindはディスプレイ広告のクリックスルーコンバージョン、ビュースルーコンバージョンのみならず、リスティング広告を含めたコンバージョンパスデータを測定することが可能だ。アクセス解析ツールほど幅広い施策の効果測定には対応していないが、解析機能は今後進化していくと見られる。

  • MarketShare PartnersVisualIQC3 Metricsなどのアトリビューション専業ツール

    クリックスルー、ビュースルーのコンバージョンパスデータの測定、システム上で複数のアトリビューション・モデルから選択し、貢献度の算出を行う機能を実装。テレビなど、Cookieではつなげることができないオフラインメディアのデータも取り込み、数学的モデルに当てはめて獲得、売上の予測解析、最適予算の算出を行うことが可能なソリューションも出現し始めている。

米国ではアトリビューションに取り組む環境が整いつつある。
図1-5-1 米国ではアトリビューションに取り組む環境が整いつつある。

また、測定環境のみならず、ClearSaleingなど、測定環境の構築から分析モデルの設計、分析業務などをアウトソースできるソリューションプロバイダーも存在する。従来のオンライン広告エージェンシーも、広告主からのアトリビューション分析のニーズに応えるために体制を整えている。

このように、アトリビューション分析を導入する際の選択肢も増えてきており、それぞれが進化をしているため、特長となる部分は生かしつつ、アトリビューション分析を行うための基本機能はいずれのツールにおいても装備されている。また、自社でアトリビューション分析を実践するリソースやノウハウがない場合でも、委託できるパートナーも出始めている。

このような環境からか、米国では大手マーケティング先進企業を中心に試験的な取り組みがなされており、早くからアトリビューション分析のノウハウを蓄積しつつある。

インサイト

顧客の潜在的なニーズや願望、本音のこと。

しかしながら、測定ツールや分析業務以上に、「導かれた結果を活用することができる組織の体制や人が存在するか」が大きな問題である。前述の通り、アトリビューションは個別の施策を緻密に連携させ、相乗効果を発揮するためのコミュニケーション戦略やメディアプランを立てることが重要である。それぞれの施策を横断的に理解し、アトリビューション分析の結果から導かれたインサイトを加味した上で、各担当者の指揮を執る総合プロデューサー的な役割と能力を持った人材は広告主の規模にかかわらず必要とされており、その確保や育成はアトリビューションが浸透していく上での大きな課題でもある。


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アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
  • アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法
  • 著 田中弦 佐藤康夫 杉原剛 有園雄一
  • ISBNコード
    978-4844331841
  • インプレス
    書籍詳細情報

この記事は、書籍 『アトリビューション 広告効果の考え方を根底から覆す新手法』 の内容の一部を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

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